出版物
スラブ・ユーラシア叢書- 1. 国境・誰がこの線を引いたのか-日本とユーラシア
- 2. 創像都市ペテルブルグ:歴史、科学、文化
- 3. 石油・ガスとロシア経済
- 4. 近代東北アジアの誕生―跨境史への試み
- 5. 多様性と可能性のコーカサス-民族紛争を超えて
- 6. 日本の中央アジア外交-試される地域戦略
- 7. ペルシア語が結んだ世界-もうひとつのユーラシア史
- 8. 日本の国境・いかにこの「呪縛」を解くか
- 9. ポスト社会主義期の政治と経済-旧ソ連・中東欧の比較
- 10. 日露戦争とサハリン島
- 11. 環オホーツク海地域の環境と経済
- 12. 北西ユーラシアの歴史空間
- 13. 紅い戦争のメモリースケープ
- 14. 北極の人間と社会
――持続的発展の可能性 - 15. 北東アジアの地政治
―米中日ロのパワーゲームを超えて - 16. 日本帝国の膨張と縮小
―シベリア出兵とサハリン・樺太
[スラブ・ユーラシア叢書 4]
近代東北アジアの誕生―跨境史への試み
スラブ・ユーラシア叢書第4巻『近代東北アジアの誕生―跨境史への試み』(左近幸村編著)が刊行されました。2007年3月にスラブ研 究センターで開催さ れた研究会「近代東北アジアにおける国際秩序と地域的特性の形成」での報告がもとになっています。 執筆陣は、ロシア極東史の泰斗、原暉之氏を除き、いずれも60・70年代生まれの中堅若手から構成されています。最年少は編著者で79 年生まれ、まだ博士後期課程です。目次からも明らかですが、現在、各分野の第一線で活躍している気鋭の研究者が多く含まれています。また相互参照を徹底 し、すべての論文が、本書所収の他のいずれかの論文に言及しています。このことは当然、論文集一般のあり方についての問題提起でもあります。 ロシア史を軸としつつも、領域的には大きくそこから飛び出した本書は、2008年の初頭に講談社から刊行された『講座スラブ・ユーラシ ア学』(編集代表家 田修)の事実上の続編となっています。本書を手にとって、「ここに結集した野心的な歴史家たちの熱意」(川北稔氏による帯の推薦文より)を直に感じていた だければ幸いです。 編著: 左近幸村 2008 年 12月 北海道大学出版会 (出版社のページへ) ISBN 978-4-8329-6700-7 定価3200円 |
目 次
序論 |
|||
左近幸村 |
東北アジアから見える世界 |
1 |
|
第一部
ロシアとアジアのネットワーク |
|||
第一章 |
原暉之 |
近代東北アジア交易ネットワークの成立―環日本海圏を中心に― |
25 |
第二章 |
麓慎一 |
国際的環境から見た日露間の航路形成 |
61 |
第三章 |
天野尚樹 |
サハリン石炭と東北アジア海域史 |
83 |
第四章 |
左近幸村 |
キャフタからウラジオストクへ―国境地帯における貿易構造の変化と関税政策― |
111 |
第二部
変容する中国の内と外 |
|||
第五章 |
岡本隆司 |
19世紀中国における自由貿易と保護関税―「裁釐加税」の形成過程― |
141 |
第六章 |
矢後和彦 |
露亜銀行(1910~26年)覚書 |
163 |
第七章 |
浅田進史 |
利益独占と「門戸開放」―ドイツ山東鉄道事業をめぐる秩序形成― |
179 |
第八章 |
荒武達朗 |
1900~1920年山東半島の移民と農村経済 |
211 |
第三部
東北アジアからの露清帝国再考 |
|||
第九章 |
杉山清彦 |
大清帝国のマンチュリア統治と帝国統合の構造 |
237 |
第十章 |
塚瀬進 |
中国東北統治の変容―1860~1880年代の吉林を中心に― |
269 |
第十一章 |
松里公孝 |
プリアムール総督府の導入とロシア極東の誕生 |
295 |
第十二章 |
オイドフ・バトバヤル |
ロシア帝国の辺境統治と領域拡張―東部辺境の国境監督官制度― |
333 |
補論 |
|||
桃木至朗 |
海域史、地域研究と近代東北アジア |
359 |