トップ第1班:研究概要
第1班 国際関係:研究概要
国際秩序の再編
研究の主目的はユーラシアの主要アクターであるロシア、中国、インドの存在が国際社会に与える影響の深度と広がりを分析し、翻って国際社会の側がこれらの「地域大国」とともにどのような新秩序を形成していくかを展望する点にある。主目的の達成を補う作業として、本研究を単なるロシア・中国・インドの「地域大国」外交研究にとどめず、「国際秩序の再編」なるテーマに即して、国際秩序側がロシア、中国、インドの挑戦を主体的にどのように受けとめ、それをどのように無視、牽制、あるいは包含するのか、という側面にも光を当てる。
具体的には、第1に、「冷戦後世界」という文脈でロシア・中国・インドを位置づける際、冷戦期と冷戦後の秩序の相違及び変化の文脈で三国の位相を検討する。三国それぞれに関し、外交研究や現在研究のみならず冷戦史研究についてもトップクラスの業績を有する、デイビッド・ウルフ(ロシア)、石井明(中国)、吉田修(インド)のメンバーを中心にこれを行う。ロシア、中国、インド三国の比較・関係研究は、冷戦史研究の先端をいく米国でも稀であり、本申請が学界に貢献する明確なポイントの1つである。第2に、冷戦後国際秩序を「主語」として分析を行う場合、最重要な米国の動向を追う。ユーラシアの地域大国が地域内外でどのような行動をとろうと、その諸国自らが絶えず、米国の存在や反応を強く意識し、米国の一挙一動を観察しながら外交を行っている。本申請では、日本の米国外交研究者による側面支援のもと、ワシントンのブルッキングス研究所、ケナン研究所、ジョージタウン大学などの関連センターや研究所との共同研究を実施する。