現在までロシアにおける金融諸問題を研究の中心課題とし、主に銀行の分析に焦点をあててきた。銀行は資金の決
済を行うほか、資金余剰主体から資金不足主体
に資金を融通する役割を担う。このため、銀行を分析することは企業の資金面における諸問題をはじめとする金融諸問題の把握を可能とし、ロシア経済の特徴を
理解する上できわめて重要であると考える。
銀行の分析に際して、ソ連時代より活動しているロシアの銀行は過去の顧客関係にどのような影響を受けているの
か、金融市場の発達したモスクワに拠点を置く銀行の活動には一定の特色が見出せるのか、規模による活動の差異は存在するのかなどといった疑問が生ずる。こ
うした疑問に答えるべく、ロシアの銀行を旧国有銀行系の銀行とそうでない銀行
(設立母体別分類)、モスクワとそれ以外の地域の銀行(所在地別分類)、さらに銀行を特定の規模別(規模別分類)に分類してロシアの銀行活動の特徴を見出
した。
また、最近ではロシア金融危機が銀行活動に及ぼした影響を分析しており、銀行の類型別に外貨取引益、不良債
権、対外債務、資本・資産比率などの考察を進めている。
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著書
- 共編『北海道大学MOT(技術経営)実証型講義教材』北海道大学MOT教材開発委員会、札幌、2001
年9月
論文
- 単著「ロシアにおける銀行の出自別活動の特徴(1992~98年初め)」『ロシア研究』1999年10
月、29号
- 単著「ロシアにおける銀行の類型別資金運用状況(1992~1998年初め)」『比較経済体制学会会
報』2000年1月、37号
- 単著「ロシアにおける銀行の資金運用状況(1992~98年初め)―設立母体別、所在地別、規模別視点
から―」『スラヴ研究』2000年3月、47号
- 単著「ロシアにおけるベクセル取引の現況」『北海道大学大学院経済学研究科ディスカッションペーパーシ
リーズB』2000年10月、36号
- Shigeki Ono, "Technical and Scale Efficiency of
Russian Far East Banks: A Non-Parametric Approach," Economic
Journal of Hokkaido University, Vol.31. 2002.
- Shigeki Ono, "The Impact of the Russian
Financial Crisis on the Efficiency of Russian Banks," Graduate School
of Economics and Business Administration, Hokkaido University,
Discussion Paper Series A, No.100, January 2003.
- 単著「ハバロフスク地方における銀行財務諸表分析」『北海道極東研究』第4号、2003年3月
- Shigeki Ono, "International Capital Movement,
Economic Fundamentals and the Russian Financial Crisis: Three Years
Later," Economic Journal of Hokkaido University, Vol.32. July,
2003.
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