スラブ研究センターニュース 季刊 2003年 秋号 No.95
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比較経済体制学会では、年1回の全国大会に加えて、昨年度から秋期研究報告会が開催されるようになった。今年度の秋期研究報告会は、11月1日午後1時から大阪市立大学文化交流センター(大阪駅前)において開催される。プログラムは次の通り。
第1分科会:道上真有(大阪市立大・院生)「ロシア・ヴァーチャル・エコノミー論」、平手賢治(名古屋学院大・院生)「体制移行の倫理学:体制移行の背景的正義」、 Lee Hyun Young(李賢映)(東京工業大・院生)「日米・韓米半導体貿易摩擦」
第2分科会:斎藤久美子(和歌山大)「移行期ロシアへの会計からのアプローチ」、小出秀雄(西南学院大)「家電リサイクル法の料金制度と不法投棄政策」
2003年 | 11月1日 | 比較経済体制学会第2回秋期研究報告会 於大阪市立大学文化交流センター(大阪駅前) 問い合わせは:学会事務局 eyoshino@pop.econ.hokudai.ac.jp (記事参照) |
11月1-2日 | 2003年度日本ロシア文学会総会・研究発表会 於大阪外国語大学 ペテルブルグ建都300周年記念セッションあり。10月31日にプレシンポ「ヴィヴァ 聖ペテルブルグの魅力を語る」(大阪国際交流センター)も開催。これはペテルブルグの姉妹都市である大阪市と共催。 問い合わせは:学会事務局 rus@boz.c.u-tokyo.ac.jp |
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11月8日 | JSSEES(日本スラブ東欧学会)総会・シンポジウム 於中京大学名古屋校舎 問い合わせは:学会事務局(佐藤) j52396@sakura.kudpc.kyoto-u.ac.jp |
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11月14-15日 | 国際学術コンファレンス≪Культурная коммуникация стран АТР≫於極東国立大学(ウラジオストク) 連絡先:hist@deans.dvgu.ru |
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11月20-23日 | AAASS(米国スラブ研究促進学会)第35回全国大会 於トロント(カナダ) 詳しい情報は:http://www.fas.harvard.edu/~aaass/ |
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2004年 | 1月26日- 2月6日 |
「ロシア外交の特性」短期特別コース 於ロシア外務省外交アカデミー 問い合わせは:galina-101@yandex.ru/ksushasineva@yandex.ru |
1月28-31日 | スラブ研究センター冬期国際シンポジウム "Emerging Meso-Areas in the Former Socialist Countries: Histories Revived or Improvised?" 及び若手研究者国際ワークショップ(記事参照) | |
4月7-11日 | 国際会議 "Siberia and the Russian Far East: Past, Present, and Future" 於テキサス州ヒューストン 連絡先:Victor Mote, vmote@earthlink.net |
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7月14-16日 | スラブ研究センター夏期国際シンポジウム | |
2005年 | 7月25-30日 | ICCEES(中東欧研究国際評議会)第7回世界会議 於ベルリン 詳しい情報は:http://www.rusin.fi/iccees/ |
日露戦争時には、日本国内各地に捕虜としたロシア軍将兵の収容所が順次設置され、戦争末期には7万人を超える収容者があった。スラブ研究センター図書室は、最近、このうち姫路および福知山に設置された収容所に関する若干の資料を購入することができたので、ご報告したい。
姫路俘虜収容所は、松山および丸亀に続く3番目の収容所として1904年8月1日に開設され翌1905年12月28日に閉鎖された。福知山俘虜収容所は4番目の収容所として1904年9月9日に開設され、1906年1月6日に閉鎖された。いずれも下士卒のみを収容し、姫路収容所は陸軍1760名、海軍424名の計2184名を収容する、どちらかといえば大規模の、福知山収容所は陸軍390名、海軍1名の計391名を収容する小規模の収容所であった。
今回入手した資料は、それぞれ別個の古書店を経た2つの部分から成る。すなわちその第1部分は、写真帖2冊、絵葉書帖1冊、および収容所日誌6冊、「俘虜ニ関スル取調書」、「福知山収容所職員名簿」等18点の文書、書簡30通より成る。
追って別ルートより入手した第2の部分は、写真帖3冊、厚紙の台紙に貼った写真11枚、および書簡21通より成る。
いずれの部分についても、書簡の受取人はそのほとんどが田中昌太郎後備役陸軍中尉であり、その他の文書類、写真帖に関しても、全てが田中中尉の管理下にあった品と推定している。
本年1月29日より2月1日までセンターにおいて開催された国際シンポジウム『20世紀初頭のロシア・東アジア・日本: 日露戦争の再検討』に際して、写真展『捕虜となったロシア軍将兵:日露戦争の一断面』を1月28日~31日の間開催したが、第1部分の資料をこれに展示することができた。
日露戦争時のロシア軍捕虜収容所に関しては、当時の陸軍省の手になる『明治三十七八年戦役俘虜取扱顛末』(有斐閣書房、1907年)があり、また才神時雄『松山捕虜収容所』(中央公論社、1969年)などもあるが、個別の収容所に関する記録、文書、研究は決して多くなく、100年の歳月を経た現在、不明の部分が大きい。
今回入手した資料の所持者であった田中昌太郎は、福知山収容所の開設と同時にそこに着任し、翌1905年6月には姫路収容所に異動したが、この間一貫して収容所運営上キーパーソンの位置にあったと考えられる。
姫路および福知山収容所に関しては、これまで桧山真一氏による仕事「福知山俘虜収容所のロシア人下士官の手記」(『共同研究日本とロシア』(早稲田大学安井亮平研究室、1987年)所収)および「俘虜と製革:姫路のポーランド人ミハウ・ムラフスキ」(同第3集、一橋大学中村喜和研究室、1992年所収)があるが、今回入手した資料が今後の研究の発展に資するよう、逐次、解題・翻刻等を進める予定である。
2003年6月から8月までの3ヵ月間における、センターのホームページへのアクセス数 (但し、gif・jpg 等の画像形式ファイルを除く) を統計しました。
全アクセス数 (1日平均) |
うち、 邦語表紙 アクセス数 (1日平均) |
うち、 英語表紙 アクセス数 (1日平均) |
国内からの アクセス数(%) |
国外からの アクセス数(%) |
不明(%) | |
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6月 | 204,383(6,879) | 9,635(321) | 3,180(106) | 72,831(35.3%) | 88,852(43%) | 44,700(21.7%) |
7月 | 222,946(7,192) | 10,430(336) | 3,897(126) | 85,792(38%) | 77,291(35%) | 59,863(27%) |
8月 | 218,294(7,041) | 9,059(292) | 3,272(105) | 105,615(48%) | 78,517(36%) | 34,162(16%) |
和文レフェリーズ・ジャーナル『スラヴ研究』第51号(2004年4月発行予定)への投稿は8月末で締め切られました。18件の応募があり、2004年4月の発行を目指して現在審査をおこなっています。
2004年末に刊行予定の第21号はレフェリーによる審査が終わり、現在編集作業中です。掲載予定論文は次号で発表します。
研究報告シリーズ第93号『現代文芸研究のフロンティア(IV)』が7月に出版されました。主として科学研究費研究『転換期ロシアの文芸における時空間イメージの総合的研究』(2002-04年度、課題番号14310217、代表者:望月哲男)の中間成果を収めたもので、内容は以下の通り。
ガロス=エヴドキモフ『[ヘッド]クラッシャー』 | 岩本和久 | |
Словотворчество в поэтике Хармса и Введенского | Валерий Гречко | |
「歴史の上書き」と「文学」「言語」の位置について: 現代ロシアのコーカサス表象(II) |
中村唯史 | |
ユーリイ・コヴァーリのほうへ | 武田昭文 | |
現代風ドストエフスキイ:伝説と加工 | 望月哲男 | |
《訳》アンドレイ・リョーフキン「ロシア民話としてのドストエフスキイ」 | 望月哲男 | |
ロシアの北/北のロシア | 望月哲男 |
なおテクストは下記のサイトでも読むことができます。
http://src-h.slav.hokudai.ac.jp/publictn/93/93-contents.html
現在、返信されたアンケートをまとめ終わり印刷準備中です。アンケートにご協力くださりありがとうございました。ご協力いただいた方には冬になる前に名簿をお届けする予定です。
久保庭真彰教授(一橋大学経済研究所、センター共同研究員)が2003年6月、ロシア科学アカデミー中央数理経済研究所から名誉博士号を授与されました。同研究所は、経済計画立案への数学的方法の応用などを目的に1963年に設立されたもので、ロシアの市場経済化のなかで多くの経済閣僚・官僚・実務家を輩出したことで有名です。久保庭教授は同研究所と20年以上の交流があり、今回の名誉博士号の授与は産業連関表によるソ連・ロシア経済分析をはじめとする同教授の「経済への数学的方法の適用」が高く評価されたものです。ロシア科学アカデミーの研究所が日本人に名誉博士号を授与するのは、久保庭教授で4人目、中央数理経済研究所からは初めてとのことです。また、同研究所による名誉博士号の授与は、久保庭教授で3人目とのことです。
岩下明裕著『中・ロ国境の旅:「4000キロ」の舞台裏』(ユーラシア・ブックレットNo.51、東洋書店、2003年)が刊行されました。本書は先に刊行された本著者の『中・ロ国境4000キロ』のメイキング版にあたり、前著では掲載されなかった国境の写真を多数収録するとともに、地図を改良してより多くの読者に中ロ国境地帯の状況を身近に知ってもらおうとの意図から企画されたとのことです。
ニュース94号以降のセンター訪問者(道内を除く)は以下の通りです(敬称略)。
7月14日 | 我妻真一(立命館大院) |
7月15日 | 南野大介(筑波大院) |
7月16~ 19日 |
アレクセーエフ(Mikhail Alexseev/サンディエゴ大、米国)、ベロフ(Andrei Belov/福井県大)、ボッツ(Thoiston Botz/日独研究センター、京都)、ガブリレンコフ(Evgeny Gavrilenkov/トロイカ・ディアローグ、ロシア)、カリン(Erlan Karin/中央アジア政治研究所、カザフスタン)、クズネツォフ(Victor Kuznetsov/サマーラ州行政府、ロシア)、レーン(David Lane/ケンブリッジ大、英国)、マックマン(Kelly McMann/ケース・ウエスタン・リザーブ大、米国)、ミヘーエヴァ(Nadezhda Mikheeva/ハバロフスク経済研究所、ロシア)、パク(Park, Chang Kyoo/平和研究所、韓国)、ポポフ(Vladimir Popov/新経済大、ロシア)、リチャードソン(Stuart Richardson/カリフォルニア大院、米国)、シュレットル(Wolfram Schrettl/ドイツ経済研究所、ドイツ)、チホミーロフ(Vladimir Tikhomirov/ニコイル社、ロシア)、ウィルソン(Jeanne Wilson/ウィートン大、米国)、ヨン(Yom, Hyom Sik)、趙華勝 (Zhao, Huasheng/上海国際問題研究所、中国)、相原次男(山口県大)、安野正士(上智大)、池田嘉郎(学振研究員)、石井明(東京大)、石川健(島根大)、伊藤庄一(筑波大院)、伊東孝之(早稲田大)、伊藤俊哉(外務省)、岩田賢司(広島大)、上垣彰(西南学院大)、大津定美(大阪産業大)、岡田美保(青山学院大院)、岡奈津子(アジア経済研究所)岡本和彦(東京成徳大)、小野塚佳光(同志社大)、帯谷知可(国立民族学博物館)、神岡理恵子、亀山郁夫(東京外大)、川端香男里(川村学園女子大)、木村崇(京都大)、木村汎(拓殖大)、久保庭真彰(一橋大)、雲和広(香川大)、小森吾一(エネルギー経済研究所)小森宏美(国立民族学博物館)、金野雄五(みずほ総合研究所)、斎藤久美子(和歌山大)、佐藤経明(横浜市大)、塩原俊彦(高知大)、志摩園子(昭和女子大)、清水学(宇都宮大)、栖原学(日本大)、仙石学(西南学院大)、高田和夫(九州大)、武田友加(東京大院)、武田昭文(富山大)、楯岡求美(神戸大)、田中まさき(東京大院)、田畑理一(大阪市大)、角田安正(防衛大)、中野潤三(鈴鹿国際大)、中村靖(横浜国大)、西村可明(一橋大)、兵頭慎治(防衛研)、廣瀬陽子(慶応大)、藤本和貴夫(大阪経済法科大)、堀内賢志(早稲田大)、堀江典生(富山大)、本田登(東京大院)、松永裕二(西南学院大)、三浦清美(電気通信大)、溝端佐登史(京都大)、南塚信吾(千葉大)、百済勇(駒澤大)、八木君人(早稲田大院)、湯浅剛(防衛研究所)、吉岡潤(津田塾大)、吉田修(広島大) |
10月2日 | ドレウスキ(Bruno Drewski/国立東洋語学・文明研究所、フランス) |
10月17日 | バジャノフ(Evgeny Bazhanov/ロシア外務省現代国際関係研究所)、バジャノワ(Natalia Bazhanova/ロシア科学アカデミー東洋学研究所) |
松里公孝研究員は2003年7月22日~9月1日の間、科学研究費研究「ベラルーシ・ウクライナの体制転換開始過程での経済・社会・政治構造の微視的総合研究」に伴う調査のためラトヴィア、リトアニア、ロシア、ウクライナに出張。
田畑伸一郎研究員は7月28日~8月7日の間、科学研究費研究「ロシアの世界経済との統合に関する総合的研究」の学術調査のためロシアに出張。
家田修研究員は8月12日~31の間、科学研究費研究「東欧地域社会形成と拡大EUの相互的影響に関する研究」と「東欧・中央ユーラシアの近代とネイション」に関する現地調査および資料収集のためハンガリー、イタリア、英国に出張。
兎内勇津流研究員は8月15日~25日の間、東シベリアにおける図書出版事情および図書館事情調査のためロシアに研修旅行。
エッセイ: | |
N.スウェイン | 農村にこそ中心がある |
松里公孝 | ダゲスタンのイスラム(前編) |
2003年10月31日発行 | |
編集責任 | 大須賀みか |
編集協力 | 原 暉之 |
発行者 | 家田 修 |
発行所 |
北海道大学スラブ研究センター 060-0809 札幌市北区北9条西7丁目 Tel. 011-706-3156, 706-2388 Fax. 011-706-4952 インターネットホームページ: http://src-h.slav.hokudai.ac.jp/ |