オホーツク市民公開セミナー
「オホーツク海の開発と環境を考える」
開催日時:成平11年1月30日(土)13:30〜16:30
主 催:北海道大学スラブ研究センター
開催場所:北海道立オホーツク流氷科学センター 多目的ホール
(住所:〒094-0023 紋別市元紋別11番6号)
Tel:(01582)3−5400
Fax:(01582)3−9844
共 催:北海道大学低温科学研究所附属流氷研究施設
財団法人オホーツク生活文化振興財団
北海道立オホーツク流氷科学センター
後 援:北海道網走支庁、紋別市、紋別商工会議所、北方圏センター
北方圏国際シンポジウム実行委員会
北海道新聞社、NHK北見放送局、北海民友新聞社、紋別新聞社
協 力:流氷倶楽部(北海道立オホーツク流氷科学センター友の会)
オホーツク海・氷海研究グループ
パネリスト:
・コーディネーター
村上 隆(北海道大学スラブ研究センター教授)
・パネラー
青田昌秋(北海道大学低温科学研究所教授)
佐伯 浩(北海道大学大学院工学研究科教授)
北川弘光(北海道大学大学院工学研究科教授)
中尾 繁(北海道大学水産学部教授)
杉本 侃(日ロ経済委員会事務局長・主任研究員)
佐川達人(紋別商工会議所専務理事)
鴨下公一(北辰土建株式会社社長)
コーディネーター・村上: それでは、オホーツク市民公開セミナーを開催したいと思いま す。皆様方、多数参加していただきましてありがとうございます。開催にあたりまして、 この度大変尽力していただきました青田先生から一言、ご挨拶をいただきたいと思います。
青田:
みなさんこんにちは。寒いところお集まりいただきありがとうございます。私たち、
このオホーツク沿岸の地元の人間としても、サハリンの石油掘削には関心を持たざるを得
ません。これは非常に身近な問題であり、重要なことでもあります。我々の生活は、石油
無しでは一日といえども成り立たないのが現実です。
その石油ですが、日本国内ではほとんど採れません。ほとんどが何千キロも離れた中近
東からの船舶輸送による輸入に頼っています。アラスカ沿岸ではエクソン社の原油で大事
故が発生しました。
日本海ではロシアのタンカーの沈没事故が起きて、原油汚染が身近で起きることの恐ろ
しさを実感しました。そんな危険なものは身近なところで採ったり、運んだりして欲しく
ないという気になってしまいがちです。よそで採って欲しいと言うのも、身勝手な考えで
しょう。自らのエネルギーが必要ならば、自分らのそばで採ることを拒否出来ないとも言
えます。けれども何かあったら恐ろしいなというのも地元の素直な気持ちです。一方、地
域経済の発展のためには、日ロの経済交流を進めていかなければならない面もあります。
ロシアにはロシアの問題があります。
今日は、オホーツク海の保全、日ロの経済発展という両面から、立体的にオホーツク海
の石油掘削の問題を諸先生方、また参加された皆様と討論したいと思います。よろしくお
願いします。
村上:
どうもありがとうございました。それでは本日のシンポジウム、セミナーの進め方
について、若干お話ししたいと思います。休憩をはさんで大きく二つに分けます。私が20
分程、サハリンの開発と環境の問題についてご説明致します。その後、各パネラーの方に、
それぞれ10分ほどづつお話をしていただいて、終わった時点で休憩を10分取ります。そ
の後、フロアーにいる我々の研究チームのメンバー紹介したいと思います。既に、皆さん
から多くの質問が寄せられていますけれども、なるべくフリー・ディスカッションみたい
な形で意見交換をしていければと思います。16時30分終了の予定ですが、場合によって
は若干のびることもあるかも知れませんが、お急ぎの方はどうぞ退席していただいて構い
ません。
まず最初に、今日のパネリストの方々をご紹介致します。お手元にパンフレットがある
かと思います。簡単にご紹介したいと思います。まずこの研究の代表を務めておりますの
は、私、村上です。専門分野は極東経済、旧ソ連のエネルギー問題です。それから次は、
青田先生、もう皆さんご存じのように、流氷の大家です。佐伯先生は港湾工学・氷工学を
専門にされています。北川先生は氷雪工学の専門家でございます。それから、中尾先生は
海洋生物、とくに貝類を専門としております。以上の方々が研究チームのメンバーです。
今回、特別参加していただいています方々を紹介します。杉本さん。長いこと日ロ経済関
係に携わっていて、現在では、対ロの経済産業界の柱となっております日ロ経済委員会の
事務局長をされておられます。それから地元の方々に参加いただいています。もう皆さん
私が紹介するまでもなくご存じの方々だと思いますが、紋別市から佐川達人さん。北見市
から鴨下公一さんです。
村上: それではまず文部省の科学研究費による「サハリン大陸棚の開発と環境」について の研究プロジェクトを簡単に紹介したいと思います。このプロジェクトの趣旨の第一は、 開発と環境という二律背反の問題を考えようということであります。第二は、我々が客観 的に研究した成果を何とか社会に生かしたいということであります。この研究プロジェク トの期間は三年間でございまして、昨年の4月からスタートしております。全体のメンバ ーは15人ですが、それぞれの専門の分野で研究を行い、サハリン大陸棚という地域での石 油・天然ガス開発を総合的に研究することを目指しております。本日のパネリスト以外の 研究チームのメンバーを紹介したいと思います。札幌国際大学の荒井さんはサハリンの漁 業問題を担当しています。北大スラブ研究センターの皆川さん、地方政治を分担しており ます。法学部の畠山さん、国際法の専門でございます。それから若土さんは、北大低温科 学研究所に所属していまして、明日からの別の国際シンポジウムにご参加される予定でご ざいます。大学院地球環境科学研究科の山村さんは環境地図を作るという作業をすること になっております。経済学部の吉田さんは開発と環境における経済的な評価を研究課題に しております。スラブ研究センターの原さんは、現在図書館長ですが、戦前期の北樺太の 石油開発問題を扱っております。それからアメリカからモントレー大学の赤羽さんとシチ ェルバコヴァさんがサハリン市民意識調査を担当しています。