第3セッションのようす
1月25日〜27日の3日間、スラブ研究センターにおいて、恒例の冬期シンポジウムが開催されました。うち25日、26日の2日間が、「スラブ・ユーラシア諸国におけるリージョン:歴史と現在」というタイトルの国際シンポジウムで、合計6セッション13の報告がおこなわれ、27日が若手研究者を中心としたアフター・セミナー「ポスト・コミュニスト諸国におけるリージョン/サブリージョン政治」で、合計6つの報告がおこなわれました。
規模的にはほぼ例年通りで、内外から100名前後の専門家が参加しました。高度に学術的な研究会議ですので、参加者は研究者が中心ですが、それ以外にも在札幌ロシア領事館からサプリン総領事ほか5名が参加するなど幅広い分野の人々が集まり、白熱した議論を繰り広げました。
スラブ研究センターでは、毎年夏と冬の2回シンポジウムを開催していますが、従来は夏のシンポジウムが外国語による国際シンポジウム、冬が日本語による報告中心のシンポジウムという区別がありました。しかし、この数年冬期シンポジウムの「国際化」が進み、多くの報告が外国語でおこなわれるようになっています。今年の場合、25日〜26日の13の報告は全て外国語(英語10、ロシア語3)でおこなわれました。今後、センターで年2回の国際シンポジウムを開催するという状況が定着するかもしれません。
冬期シンポジウムの従来の特徴としては、センターが進めている複数の研究プロジェクトの成果の発表の場であり、そのため、統一的なテーマを持ちにくかったという点があげられます。しかし今回の場合、大部分の報告がスラブ・ユーラシア研究の近年の一つの大きな潮流である「リージョノロジー」に含まれるもの、およびその関連研究であったため「スラブ・ユーラシア諸国におけるリージョン:歴史と現在」というタイトルに見合った統一性のある会議になったと評価できます。
運営面での大きな変化としては、インターネットの活用があげられます。センターのシンポジウムでは、通常2週間前までに報告ペーパーが提出され、事前のアンケート等で調べた参加者にペーパーを配布するということがおこなわれてきました。今回のシンポジウムからは、全ての報告ペーパーとその付随資料をPDFファイル化して、センターのウェブサイト上に設けられたシンポジウム専用ページ(http://src-h.slav.hokudai.ac.jp/sympo/2000winter/2000winter-j.html)から参加希望者がダウンロード・印刷するという方式に改めました。これにより、運営上での大幅な作業効率化、省力化、費用の節約等が可能になりました。
なお、冬期シンポジウムの場合、全体のプロシーディングスは刊行されませんが、報告ペーパーの多くは、研究プロジェクトの成果としてセンター発行の研究報告シリーズに発表されたり、あるいはセンター発行の欧文学術雑誌
Acta Slavica Iaponica 等に投稿される予定となっています。[山村]
前号でお知らせしましたが、今年度の夏の国際シンポジウムは7月11日(水)〜14日(土)の会期、そして"Transformation and Diversification of Rural Societies in Eastern Europe and Russia"という表題のもとで開催されます。
今回のシンポジウムは現在スラブ研究センターで進行中の学振国際学術研究科研「旧ソ連東欧諸国における農村経済構造の変容」(1999-2001年度、家田修代表)による国際共同研究の成果に基づいて開催されますが、スラブ地域の農村史研究については、国内に世界的な水準の研究蓄積があり、今回のシンポジウムではそのような研究領域をも取り込んで、単に経済の現状だけでなく、社会学的、歴史学的、あるいは政治学的な視野と有機的に連動した幅広い議論を喚起したいと考えております。さらにはEU加盟という焦眉の問題をも射程に入れた論議も予定しています。シンポジウムのプログラム(予定)は以下の通りです。
7月11日(水)
第1セッション:ロシア農村社会の源流
I.ゲラシモフ(Ab Imperio編集主幹/ロシア)"A Little-Known Project of Public Modernization of Russian Countryside: The New Generation of Russian Intelligentsia and the New Peasantry, 1907-1917"
吉田浩(岡山大)"Peasant Customary Law as Representation"
7月12日(木)
第2セッション:ロシア農村社会の現在
I.Z.カルーギナ(Institute of Economics and Industrial Engineering/ロシア)"Rural Transformation in Russia: Inconsistencies and Results"
D.J.オブライエン(Missouri University/アメリカ)"Household Capital and Structural Change in Employment and Income in Rural Russia from 1991-1999"
第3セッション:ハンガリー農村社会と農業再編
K.コヴァーチ(Center for Regional Studies/ハンガリー)"Agricultural Restructuring and Its Impacts on Rural Society in Hungary"
家田修(SRC)"Re-transformation of Co-operative Farms and Rural Society in Hungary"
第4セッション:ロシア農業発展論再考
小島修一(甲南大)"Kondrat'ev's View of the Russian Agricultural Development"
山村理人
(SRC)"New Phase of Post-Socialist Structural Changes in Russian Agriculture"(仮題)
7月13日(金)
第5セッション:多様化する東欧の農業経営
G.ブラース(Research Institute of Agricultural Economy/スロヴァキア)"Is completion of Agricultural Reforms in Central and East European Countries Conditional on the Move to a Family Farm?"
吉野悦雄(北大)"Polish Agriculture - Today and Future"(仮題)
第6セッション:EU加盟と東欧農業の行方
K.フリューベルク(Halle University/ドイツ)"EU Structural Policies and Central and East European Countries'
Agriculture"(仮題)
T.ドウハ(Research Institute of Agricultural Economy/チェコ)"Agriculture and Rural Development in the Czech Republic: History, Visions, Reality"
以上ですが、まだ最終的な調整をおこなっているセッションもありますので、若干の変更が予想されます。また、以上の他に原研究プロジェクトなどから古儀式派に関する追加セッションも提案されています。これらを含めた最終的な包括プログラムは近日中にホームページ上でお知らせします。
御関心をお持ちの方々が多数ご参加下さることをお待ちしております。何かご質問などがございましたら、シンポジウムの組織責任者(家田)までご連絡ください。[家田]
《声なき者の復権:スラブ・ユーラシア圏における民族と歴史》
5月7日から28日まで、下記の日程でセンターの公開講座がおこなわれます。今年度は、「声なき者の復権:スラブ・ユーラシア圏における民族と歴史」と題して、民族史の専門家にお話をうかがいます。ソ連、ユーゴスラヴィア、チェコスロヴァキアの分裂と絡んで、過去10年間は、スラブ・ユーラシア地域の民族問題が関心を集めました。今回の講座では、歴史上、国家独立の可能性を持たなかった民族に焦点を絞って、いわば歴史の裏面を考察したいと考えています。その過程で、そもそも「民族とは何なのか」という問いにも触れることになるでしょう。[松里]
第1回 | 5月 7日(月) | 中央ユーラシアの「民族」問題と「民族史」の創造 | 宇山智彦(センター) |
第2回 | 5月 10日(木) | 静かな反乱? 受洗タタール人の棄教 | 西山克典(静岡県立大) |
第3回 | 5月 14日(月) | ロシア帝国西部諸県のポーランド人 | 松里公孝(センター) |
第4回 | 5月 17日(木) | 極東ロシアにおける日本人社会 | イーゴリ・サヴェリエフ(新潟大) |
第5回 | 5月 21日(月) | つくられた歴史と「民族」: マケドニアをめぐって | 佐原徹哉(東京都立大) |
第6回 | 5月 24日(木) | 新たな民族の誕生:スロヴァキアのルシーン人の場合 | 長與 進(早稲田大) |
第7回 | 5月 28日(月) | 極小民族の「声」:サハリン・ウイルタの場合 | 井上紘一(センター) |
2001年度のCOE [Center of Excellence] 短期外国人研究員として、以下の3氏がセンターに滞在することになり、受け入れ準備が進められています。
レヴォン・フマヤク・アブラハミャン (Abrahamian, Levon H.)
(アルメニア科学アカデミー考古学・民族学研究所/アルメニア) | ||
研究テーマ: | 広場の人々:民族学的観点から見た旧ソ連における民族運動 | |
滞在期間: | 2001年11月29日〜2002年3月30日 |
ステファン・ペテル・ヘッドルンド(Hedlund, Stefan P.)
(ウプサラ大学東欧学部/スウェーデン) | ||
研究テーマ: | 権力対財力:ロシアの伝統において規則と権利の果たす役割 | |
滞在期間: | 2001年12月1日〜2002年2月28日 |
ユハ・アンテロ・ヤンフネン (Janhunen, Juha A.)
(ヘルシンキ大学東アジア言語・文化研究所/フィンランド) | ||
研究テーマ: | シベリアと満州における熊崇拝とフィメイル・シャマニズム | |
滞在期間: | 2001年6月1日〜2002年10月31日 |
以上の3名は、計39名の応募者の中から選ばれました。アブラハミャン氏はアルメニアから初めての外国人客員研究員です。昨年はアブハジアからラコバ氏がいっらしゃいましたので、ザカフカズが続きます。この地域とセンターの繋がリが深まっている結果でしょうか。ヘッドルンド氏とヤンフネン氏はそれぞれ気鋭の経済学者、人類学者であり、北欧から客員研究員を迎えるのは初めてです。これまでは長期短期に限らず、ロシア、アメリカ、東欧、中国の出身者がほとんどでしたが、今年の短期外国人研究員は、偶然ではありますが、初めての国ばかりからお迎えすることになりました。これらの方々との研究交流をご希望の方はセンターまでご連絡下さい。
なお、センターでは、来年度滞在されるCOE短期外国人研究員についても、次の要領で公募をおこなう予定です。
滞在期間: | 2002年6月から2003年3月までの間の3ヵ月から5ヵ月の期間 |
応募締切: | 2001年9月30日 |
採用通知: | 2001年12月下旬(最終的には2002年3月) |
応募用紙は5月末までに準備されます。応募要領は、センターのホームページでもご覧になれます。[家田]
3月31日に2002年度の外国人研究員の公募が締め切られました。応募件数は40件で、昨年の45件よりもやや少なめでした。今年は、国別に見ると昨年以上に偏った応募になっており、ロシアが18名と全体の5割近くを占め、旧ソ連全体では22名でした(ベラルーシ、ウクライナ、キルギスタン、リトアニアが各1名ずつ)。ロシアに次ぐのはルーマニアの4名で、東欧全体で11名でした。このほかの地域からは、中国1名、カナダ1名、アメリカ2名、イギリス1名、フランス1名、そしてトルコ1名でした。分野別では、比較的均衡がとれていて、歴史、国際関係、政治、文学の4分野がそれぞれ7〜8名ずつを占め、教育、軍事、環境、経済、民族の分野はそれぞれ数名ずつという構成です。これから審査がおこなわれ、7月までに候補者3名が決定されます。
なお、今年度の長期外国人研究員であるシン・グァンチェン(中国社会科学院東欧中亜研究所)、ニコライ・ボルホヴィチノフ(ロシア科学アカデミー世界史研究所北米研究センター)、ペトル・パヴリネク(ネブラスカ大学地理・地質学部/米国・チェコ)の3氏は、ボルホヴィチノフ氏が7月1日から来年3月31日まで9ヵ月、他の2氏が6月1日から来年3月31日まで10ヵ月滞在の予定で、現在受け入れの最終準備がおこなわれています。[家田]
3月10、11日の両日、センターにおいて現代ロシア文芸に関する研究会がおこなわれました。主として科学研究費共同研究「90年代ロシアにおけるポストモダニズム文芸の総合的研究」のメンバーによるもので、文芸作品や事象の紹介、文化論、文学史的議論を含め、9件の研究が報告されました。具体的な内容は以下の通りです。
「忘れられた風刺文学」ボリス・ラーニン(ロシア教育学アカデミー、センター外国人研究員)/「ポストモダニズムの文化史理解」貝澤哉(早稲田大)/「絵本作家グリゴーリー・オステルの仕事」毛利公美(東京大)/「V. ピエツフ『ロシアのアネクドート』」北川(今田)和美(東京大)/「オムスクの演劇事情」楯岡求美(神戸大)/「二枚舌のテロル:ショスタコーヴィチとスターリン権力」亀山郁夫(東京外国語大)/「ヴェーラ・パヴロワの作品」鈴木正美(稚内北星学園大)/「人が人を害する話:今も生きているポルチャ、ズグラース、キラ、イコータ」渡辺節子(著述業)/「現代小説について」望月哲男(センター)
なお成果は後日センター研究報告シリーズの1巻として出版される予定です。[望月]
年度末の3月に4つの専任研究員セミナーがおこなわれました。
3月2日 | 塚崎今日子「俗信の変容:アルハンゲリスク州ヴェルフニャヤトイマ地区調査に基づいて」 討論者:伊東一郎(早稲田大) |
3月22日 | 畠山禎「19世紀末〜20世紀初頭ペテルブルクにおける『建設事故被災者扶助協会』:組織と活動」討論者:松里公孝(センター) |
3月28日 | 井上紘一「2000年秋、サハリンにて:石油・天然ガス開発の原住民に及ぼす影響をめぐる意見聴取」 討論者:大島稔(小樽商科大) |
3月30日 | 林忠行「チェコ共和国における地方制度改革:広域自治体設置問題を中心にして」討論者:田口晃(北大法学部) |
塚崎報告は現地での丹念な口承文化の聞き取り調査に基づいて、ロシア民衆の世界観、ひいてはその背後に横たわるユーラシア世界の原形をも読み取ろうとする意欲的な作業でした。畠山報告も古文書の緻密な解読作業の成果であり、100年前のペテルブルク社会の近代性と問題性が鋭く描かれています。二人のCOE研究員の報告は今後立派な学術論文へとまとめあげられてゆくものと期待されます。
COE研究員は専任研究員セミナーでの研究報告は義務付けられていませんが、両研究員は是非とも専任研究員の厳しい批評を受けたいという積極的な姿勢でセミナーに臨みました。もう一人のCOE研究員である坂井弘紀氏も林専任研究員が代表を務める科研費研究「東欧・中央ユーラシアにおける“近代”と“ネイション”」が昨年11月に主催したセンターでの研究会で、「中央ユーラシアの叙事詩に謡われる『ノガイ』について」と題する精力的な研究の成果報告をおこなっており、これは近く刊行される同科研費研究の成果報告書に収録されることになっています。
井上報告はこれまでの論文形式の常識を打ち破って、現地住民との対話をそのまま学術論文として構成するという新基軸を打ち出したものでした。討議ではこうした新しい形式の可能性をめぐる議論から始まって、研究者はどこまで研究対象の運命にまで関与すべきか、せざるべきか、という人類学者のあり方にまで論議が及びました。林報告はセンターがこれまで手掛けてきた地方政治や地方制度に関する研究を、チェコについてさらに一歩押し進めようとした手堅い論文であり、国会での立法過程について党派ごとの見解の相違が微に入り細に入って分析されています。[家田]
ニュース84号以降の北海道スラブ研究会およびセンター研究会の活動は以下の通りです。[大須賀]
2月 13日 | B.イスラモフ(一橋大) "Exchange Rate Policy in Uzbekistan in Comparative Central Asian Perspective"(センター研究会) |
2月 23日 | Ch.タクサミ(人類学民族学博物館/サンクト・ペテルブルグ、ロシア)Малочисленные народы Севера Россииロシアの北方少数民族"(北海道スラブ研究会) |
3月 7日 | A.ボブロフ(ロシア科学アカデミーロシア文学研) "Актуальные проблемы изучения истории и культуры средневекового Новгорода中世ノヴゴロドの歴史・文化研究の現在の諸問題について"(センター研究会) |
3月 14日 | センター研究会 A Regional Aspect of Contemporary Russian Ethno-Political Development
- the Southern Urals G.カマロヴァ (ロシア科学アカデミー民族学・考古学研) "Ethno-Ecological Problems: Survival under High-Radioactive Circumstances"; V.シュニレルマン(同)"Discovery of Arkaim: The Aryan Idea in the Context of the Contemporary Radical Russian Nationalism" |
3月 15日 | 皆川修吾(センター)「私のロシア研究」(北海道スラブ研究会) |
2001年度のCOE非常勤研究員は、坂井弘紀、塚崎今日子、畠山禎の3氏が前年度に引き続き留任することになりました。[大須賀]
「囲む会」での一こま
向かって右は会計掛の大久保さん、左は元重点アルバイトの中村さん
1990年以来、スラブ研究センターのリーダー的な存在であった皆川修吾教授が、愛知淑徳大学文化創造学部へ転任されました。皆川先生が北海道大学を去るにあたって、去る3月15日(木)、北海道スラブ研究会の活動の一環として「私のロシア研究」と題する先生の講演がおこなわれました。またその後、アスペンホテルに場所を移して「皆川修吾先生を囲む会」が催されました。
講演では、皆川先生のロシア政治研究における基本的なスキームのおさらいと並んで、先生の尽力でロシアのエリートに関する詳細なデータベースが作成されたことが紹介されました。「囲む会」では、北大法学部の田口晃先生、文学部前学部長の灰谷慶三先生、一橋大学の西村可明先生などから、皆川先生の人柄、指導力、堅実な研究姿勢を示す様々なエピソードが紹介されました。
皆川先生には、今後もセンターの特別共同研究員としてご指導を賜ります。[松里]
皆川氏の新連絡先:464-8671名古屋市千種区桜が丘23 愛知淑徳大学文化創造学部
自宅メールアドレス:shugo@arion.ocn.ne.jp
2001年度は次の方々に客員教授をお願いすることになりました(敬称略)。[大須賀]
仙石学(西南学院大学・法学部)
研究プロジェクト:東中欧諸国の制度改革:過去の影響とEU加盟問題
下斗米伸夫(法政大学・法学部)
研究プロジェクト:スターリン後のソ連政治史・再検討
横手慎二(慶應義塾大学・法学部)
研究プロジェクト:戦後ソ連/ロシアの対日政策 1945-1955年研究の概要
今年の大会は、5月31日(木)〜6月2日(土)に北海道大学(クラーク会館講堂及びスラブ研究センター会議室。5月31日は幹事会のみ)で開かれる。1993年にも北海道大学で開かれたので、それから8年しか経っていないが、諸般の事情でスラブ研究センターが引き受けることとなった。共通論題は「移行経済の諸類型」と決められ、体制転換後約10年を経た移行経済を様々な観点から類型化する試みがなされる。今回の新機軸は、自由論題が分科会方式となったことで、従来、大会の前日におこなわれていた数量経済研究会も分科会の一つと位置付けられた。プログラムは次のとおりである。より詳細なプログラムについては、学会ホームページ(http://src-h.slav.hokudai.ac.jp/comparative/index.html)を参照されたい。[田畑]
比較経済体制学会第41回全国大会プログラム
6月1日(金):共通論題「移行経済の諸類型」
9:30〜12:30:共通論題報告 | |
報告者:中兼和津次(東京大)「中国における移行過程の特色」;大津定美(神戸大)「ロシア年金改革の政治経済学 -ロシアの特殊性との関わりで-」;田中宏(立命館大)「東欧から移行経済の類型化(論)を考える」;上垣彰(西南学院大)「市場経済移行類型化の試み:対外経済関係自由化の側面から」 | |
13:30〜14:30:会員総会 | |
14:30〜17:30:共通論題討論 | |
18:00〜20:00:懇親会 |
6月2日(土):自由論題分科会
9:30〜12:00:分科会1「ロシア経済・社会構造分析」 | |
報告者:栖原学(日本大)「ロシアの市場化と法制度」;杉浦史和(一橋大・院)「ロシアの1990年代における『脱ルーブル化』を巡って−財政・企業間関係の諸相から」;塩原俊彦(高知大)「ソ連・ロシアの『腐敗』問題」 | |
13:30〜15:30: | |
分科会2−1「中央アジア経済(1)」 | |
報告者:清水学(宇都宮大)「移行期の金融システム:ウズベキスタンとトルクメニスタンを対象として」;森彰夫(国際協力銀行)「カザフスタンにおける投資と金融の現状と課題」 | |
分科会2−2「移行経済の数量経済分析」【数量経済研究会】 | |
報告者:佐藤智秋(愛媛大)「現代ロシアのインフレ過程―統計指標、分析方法、地域分析―」;中谷勇介(一橋大・院)「費用効果の存在する合弁企業モデルの考察」 | |
15:45〜17:45: | |
分科会3−1「中央アジア経済(2)」 | |
報告者:輪島実樹(ロシア東欧貿易会)「カスピ海沿岸諸国の石油・ガス部門管理における諸問題」;岩崎一郎(一橋大)「中央アジア諸国の政府−企業間関係と経済成果」 | |
分科会3−2「ロシア極東経済と日ロ関係」(露語使用) | |
報告者:レオンチェフ、ルドルフ(ロシア科学アカデミー極東支部コンピューターセンター)「極東ロシアの交通・通信の現状と展望」;ザウサエフ、ヴァジン(市場経済極東研)「日ロ経済関係をどう活性化させるか:米国・中国・韓国との比較分析」 |
2001年5月19日 ウクライナ研究会第14回研究報告会 於東京大学教養学部
5月31日〜6月2日 | 比較経済体制学会第41回全国大会 於北海道大学(スラブ研究センター) |
6月11日〜8月3日 | サマー・リサーチ・ラボラトリー 於イリノイ大学ロシア・東欧センター 詳細はwww.uiuc.edu/unit/reec/srl.htm |
7月10〜13日 | スラブ研究センター2001年度夏期国際シンポジウム
"Transformation and Diversification of Rural Societies in Eastern Europe and Russia" 担当:家田修 ieda@slav.hokudai.ac.jp |
11月15日〜18日 | AAASS(米国スラブ研究促進学会)第33回全国大会 於ヴァージニア州アーリントン |
2002年1月31日〜2月1日 | スラブ研究センター2001年度冬期シンポジウム |
6月5〜8日 | コンファレンス "The Baltic States in the Era of Globalization"於ジョンズ・ホプキンズ大学/ボルチモア ペーパー締め切りは2001年10月19日 問い合わせはSteven Young (young@umbc.edu) |
センターのホームページ(裏表紙参照)の学会カレンダーにはこの他にも多くの海外情報が掲載されています。[大須賀]
◆ Yugoslav Statistics, 1834-1919 ◆
スラブ研究センター図書室では、上記のマイクロフィルムセット、全86リールを購入した。
これは、1990年代はじめまでユーゴスラヴィアを構成していた地域の主要なものについて、大戦前にそれぞれの地域において作成された統計類のコレクションである。セルビア・クロアチア語もしくはドイツ語のものが多い。当時の事情の反映であろうが、地域や分野に精粗が見られるのは致し方あるまい。またオスマン・トルコの治下に作成されたものは含まれていない。しかし、セルビア王国統計年鑑(1893-1910年分)、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ統計年鑑(1906-1916年分)の他、人口、農業、家畜、教育、鉄道、貿易、犯罪などの統計を含み、基本資料としての活用が期待される。収録資料の点数を地域毎に示すと、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ:76点、クロアチア・スラボニア:79点、セルビア:166点、モンテネグロ:1点、である。
この資料の購入にあたっては,科学研究費補助金「東欧・中央ユーラシアにおける“近代”と“ネイション”」(基盤研究A, 研究代表 林忠行)が活用された。なお、このセットは、一橋大学経済研究所も所蔵している。[兎内]
1995年度に収集を開始した、オランダIDC社の製作する上記セットの収集を、ほぼ5年がかりでようやく完結させることができた。
これは、ロシア国家社会政治史文書館(Российский
государственный архив социально-политической
истории, 略称РГАСПИ、1999年までの旧称РЦХИДНИ)が収蔵するコミンテルン文書の、マイクロフィッシュによる複製である。文書の検索には、資料中に含まれるописиによる他、IDCが製作したCD-ROMが使用できる。なお、この資料は、早稲田大学中央図書館においても収集済とのことである。[兎内]
雑誌 『Странник 巡礼者』は、1860年から1916年まで、ペテルブルクで刊行された月刊誌である。1860年前後は、アレクサンドル2世治下の自由な雰囲気において、ジャーナリズムが発展し、さまざまな雑誌が登場し言論がたたかわされた時代であるが、ロシア正教会においても、いくつもの雑誌が創刊された。Странникは、そうした雑誌の一つだが、Igor Smolitschにおいては、60年代においては、教会史的に価値の高い記事を多く掲載したが、その後より大衆的な方向に転換し、読者の幅を広げたと評されている。(История русской церкви, 1700-1917. ч.2. М. 1997. с.55)。正教会と公衆との接点にあった雑誌として、今後の活用が期待される。[兎内]