スラブ研究センターニュース 季刊 2005 年夏号 No.102
目録の序文によると、1990年に当時のレーニン図書館(現ロシア国立図書館 Российская государственная библиотека)、サルティコフ・シチェドリン公共図書館(現ロシア国民図書館)および全連邦書籍院Всесоюзная книжная палатаが新聞総合目録Газеты первых лет советской власти1917-1922.(全4巻, 北大未所蔵)を共同出版しましたが、公開フォンド分だけを扱っていて、ここに収録された新聞は、その範囲外をカバーするとのことです。という訳で、ここに 収録される新聞の傾向は全てが必ずしも反ソヴィエト系ということではなく、むしろソ連時代の情報統制を反映したものと理解すべきでしょう。たとえば、チタ で発行された極東共和国政府の機関紙 Дальне-Восточная Республика の1920年5月から1921年7月分はここに収録されており、さらに上記総合目録への参照がなされています。これは、ソ連時代において同紙 は1921年7月以降の分が公開フォンドにあったことを示唆するものと思われます。
目録の巻末には、出版地索引および人名索引が付せられています。出版地索引を見ると、シベリア, 極東の諸都市ではトボリスク(12紙)、トムスク(15紙)、バルナウル(14紙)、クラスノヤルスク(12紙)、ヤクーツク(6紙)、イルクーツク (16紙)、チタ(20紙)、ウラジオストク(22紙)が目に付きます。中東鉄道の拠点ハルビンは7紙、尼港事件で知られるニコラエフスク・ナ・アムーレ は5紙を収録します。ボルガ・ウラル地域では、カザン(5紙)、オレンブルク(11紙)、サマラ(15紙)、ウファ(12紙)、チェリャビンスク(9 紙)、ペルミ(7紙)。ステップ総督府所在地のオムスクは41紙を収録し、セミパラチンスクは10紙あります。カフカス地域では、チフリス(4紙)、バ クー(5紙)、ピャチゴルスク(12紙)、ウクライナでは、キエフ(12紙)、ハリコフ(24紙)、オデッサ(15紙)など、北ロシアでは、アルハンゲリ スクの10紙が目に付きます。
個々の新聞の収録状況については、断片的なものが多く含まれるのは、発行当時の混乱した政治・社会情勢により致し方ありません。しかし、かなりの程度揃っ ているものも含まれており、内戦期の諸地域/諸勢力の動向や社会情勢を知る上で、重要な情報源となることと思われます。
2005年4月から2005年6月までの3ヵ月間における、センターのホームページへのアクセス数(但し、gif・jpg等の画像形式ファイル を除く)を統計しました。
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全アクセス数 (1日平均) |
うち、 邦語表紙 アクセス数 (1日平均) |
うち、 英語表紙 アクセス数 (1日平均) |
国内からの アクセス数 (%) |
国外からの アクセス数 (%) |
不明 (%) |
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4月 | 293,291(9,776) | 13,508(450) | 1,965(66) | 88,111(30%) | 179,537(61%) | 25,643(9%) |
5月 | 294,448(9,498) | 13,418(433) | 1,840(59) | 87,949(30%) | 177,365(60%) | 29,134(10%) |
6月 | 281,879(4,698) | 14,221(474) | 2,304(77) | 89,176(31.6%) | 164,218(58.3%) | 28,485(10.1%) |
和文レフェリーズジャーナル『スラヴ研究』第53号(2006年4月発行予定)の投稿申し込みおよび原稿を受け付け中です。申し込みフォームは、 センターのインターネット・サイトから入手するか、センター大須賀宛ご請求ください。投稿規定・執筆要領・引用注の様式も同様の方法で入手してください。 原稿締め切りは2005年8月末で、レフェリー審査によって採否が決められます。多数の投稿をお待ちしています。
欧文レフェリーズジャーナルActa Slavica Iaponica 第23号(2005年末刊行予定)への投稿はすでに締め切られ、多数の投稿が寄せられました。現在、複数レフェリーによる審査がおこなわれています。
Anton
Chekhov in the Cultural Space of Russian Far East at the End of the Twentieth and the Beginning of the Twenty-First Centuries (in Russian) |
............ |
Inga TSUPENKOVA |
The Historical Context of
Chekhov's Trip (in Russian) |
............ |
MOCHIZUKI
Tsuneko |
Transgression
and Sakhalin: Dostoevskian Subtext in Chekhov's Murder |
............ |
Andrew R. DURKIN |
Comments and Questions to the
Three Papers (in Russian) |
............ |
KIMURA
Takashi |
Toward
the Publication of the Materials from Chekhov's Sakhalin Census in 1890
(in Russian) |
............ |
Inga TSUPENKOVA |
露語論文集« Взглрд
вне рамок старых проблем: опыт российско-китайского
пограничиного сотруднийества»が21世紀COE研究報告集No.
6として、6月に発行されました。本報告書は、科研基盤研究(B)「ポスト冷戦時代のロシア・中国関係とそのアジア諸地域への影響」研究会として、
2005年2月28日にセンターで開催されたセミナーのペーパーを収録したものです。セミナーは、ラウンドテーブル「国境・移民問題を越えて:中国とロシ
アの地域協力は新時代を迎えたのか?」のタイトルで、ロシア語で開催されました。報告者は、ヴィクトル・ラーリン(ロシア極東諸民族歴史・考古・民族学研
究所)、リリヤ・ラーリナ(ロシア極東諸民族歴史・考古・民族学研究所)、殷剣平(中国黒龍江省社会科学院ロシア(シベリア)研究所)の3名。コメンテイ
ターは、堀江典生(富山大学)と荒井信雄(センター)の両氏でした。
これまで、中ロ関係の評価に関して、対立しがちなロシアと中国の研究者でしたが、この日の議論では互いの評価がかなり一致し、双方の地域協力の利害関係が
接近しているとの印象を得ました。果たして、ロシアと中国の関係は質的に新しい段階へと突入したのでしょうか?2004年10月の中ロ国境画定問題最終解
決以後の最新情報が満載された本報告書は、初刷700部がすでに在庫切れとなり、現在増刷中です。ご関心をお持ちの方は、COE支援室(src327@slav. hokudai.ac.jp)
までお問い合わせください。なお論文題目は次の通り。
В
«новую эру» со старыми проблемами: итоги и перспективы
россий-ско-китайского регионального взаимодействия |
............ |
Виктор Ларин |
Китайцы на Дальнем Востоке
России: динамика их восприятия за по-следнее десятилетие |
............ |
Лилия
Ларина |
Китайцы
на Российском Дальнем Востоке: от «угрозы» до содействую-щего фактора
для стабильного развития экономики ДВ |
............ |
Инь Цзяньпин |
Навстречу новому подъему
регионального сотрудничества между Кита-ем и Россией |
............ |
Инь
Цзяньпин |
Опыт
российско-китайских пограничных переговоров: применим ли он к
территориальному вопросу между Россией и Японией? |
............ |
Ивасита Акихиро |
英文報告集Where are Slavic Eurasian Studies Headed in the 21st Century?が21世紀COE研究報告集No. 7として、7月に発行されました。論文題目は次の通り。
The
Current Situation in Slavic Studies in the UK |
............ |
John Elsworth |
The Future of Slavic Area Studies |
............ |
James
R. Millar |
Slavic
Studies in Canada |
............ |
Stanislav J. Kirschbaum |
The State and Future Tasks of
Slavic Studies in Australia and Beyond during the Post-Communist
Period: One Australians Perspective |
............ |
Leslie
Holmes |
Eastern European Studies: The Situation in Germany | ........... |
Thomas Bremer |
French Research on Eastern Europe |
............ |
Georges
Mink |
Russian and East European Studies in Sweden: New Challenges and Possibilities | ........... |
Lena Jonson |
A Few Remarks on Russian and
East European Studies in Finland |
............ |
Waldemar
Melanko |
Slavic
Area Studies in Japan: Features and Tasks |
............ |
Hiroshi Kimura |
The Development of Slavic
Studies in Korea: Past and Present |
............ |
Won
Soon Kwon |
Regional
Identities and Meso-Mega Area Dynamics in Slavic Eurasia: Focused on
Eastern Europe |
............ |
Osamu Ieda |
『ユーラ シア国境政治:ロシア・中国・ 中央アジア』が21世紀COE研究報告集No. 8として、7月に発行されました。本報告書は、科研基盤研究(B)「ポスト冷戦時代のロシア・中国関係とそのアジア諸地域への影響」研究会として、 2004年12月12日にセンターで開催された中央アジアに関する座談会(河東哲夫前在ウズベキスタン・タジキスタン大使ほか)および現地報告(中国と中 央アジア)、2004年6月7日の21世紀COE特別セミナー「タジキスタン内戦と戦後復興」(元国連タジキスタン監視団〈UNMOT〉調査員)のペー パーなどを収録したものです。現地にかかわる情報、統計、写真などが満載で、当該地域に関心をお持ちの方には一読の価値があるものと確信します。なお、セ ンターの宇山智彦氏も本報告書の編集に協力しています。論文題目は次の通り。
座
談会:
中央アジアの最新情勢 |
............ |
河東哲夫+野田順子+湯浅剛+宇山智彦ほか |
タジキスタン内戦と戦後復興 |
............ |
M.
トシムハンマドフ |
現地報
告:中国と中央アジア-接触地域の現場検証- |
............ |
岩下明裕 |
中・ロ国境問題の最終決着に関する覚え書 |
............ |
岩
下明裕 |