スラブ研究センターニュース 季刊 2005年
夏号
No.102 index
北海道大学スラブ研究センター創立50周年の式典に当たり、北海道大学を代表いたしまして、ご来賓をはじめ数多くの皆様のご出席を賜りましたことに心から お礼申し上げます。また、これまで各方面からいただきました、スラブ研究センターへのご支援に対しましても、厚くお礼申し上げます。
ただいま田畑センター長の挨拶にもありましたように、現在のスラブ研究センターの前身となる組織は、1955年(昭和30年)に、法学部附置の研究施設と して官制化されました。この新しい研究施設が法学部に設置されるにあたっては、当時、法学部教授であった尾形典男先生(後に立教大学総長)のご尽力があっ たと聞いております。また、残念ながら本年2月に83歳でお亡くなりになったロシア史の大家、鳥山成人先生は、文学部から法学部に籍を移して、専任教官と して草創期のこの組織の発展に尽くされました。
この研究施設は法学部附置という形をとっておりましたが、発足当初から、専任教官だけでなく、本学の複数の学部にわたる併任教官と学外からの優れた兼任研 究員によって運営されるものでした。そうした意味におきまして、この施設は本学の学部横断的な連携によって誕生し、その時から全国共同利用を目差すもので あったといえます。
当初、専任スタッフはわずか3名ないし4名にすぎませんでしたが、学内外の関係者のご努力により、少しずつスタッフの数は増え、1978年(昭和53年) に学内共同教育研究施設「スラブ研究センター」となり、1990年(平成2年)には全国共同利用施設に改組され現在に至っております。
なお、その専任スタッフの数は教員15名、事務職員2名という小規模にとどまっていますが、この10年ほどの間にスラブ研究センターは飛躍的にその活動領 域を広げつつあります。センターは、1995年(平成7年)から3年間、文部省科学研究費補助金による重点領域研究「スラブ・ユーラシアの変動:自存と共 存の条件」を組織し、全国共同利用施設としての地位を固め、2000年(平成12年)からは文学研究科に協力講座をおいて本格的な大学院教育にも着手しま した。
さらに、2003年(平成15年)にはスラブ研究センターを推進母体とする21世紀COEプログラム「スラブ・ユーラシア学の構築:中域圏の形成と地球 化」が採択されています。このプロジェクトでは、他の文系諸部局教員と連携しつつ、世界的な研究教育拠点の形成を目指す様々な研究教育プログラムが推進さ れています。 また、センターはスラブ研究に関連する諸学会のまとめ役としての役割を果たし、様々な地域研究機関を横断する連携の強化という側面でも積極的な活動をして いると聞いております。
本学の運営に関わることといたしましては、残念ながら本年度でご定年をお迎えになる原暉之教授は、1997年(平成9年)から4年にわたり附属図書館長を 務められ、『北大百二十五年史』の編纂や文書館の設立でも中心的な役割を果たされました。 このようにスラブ研究センターとそのスタッフの活躍は多岐にわたるものになっています。 北海道大学といたしましても、運用定員の配置などでセンターの活動を支援いたしておりますが、文部科学省におきましてはさらに一層のご支援をいただけるよ う、この場をお借りしてお願い申し上げます。
また、本日、この式典にご出席のスラブ研究およびその他の地域研究に関連する学会で指導的な立場にある皆様に対しましても、これまで同様の応援をお願いす る次第です。 以上をもちまして、スラブ研究センターの創立50周年をお祝いし、今後の一層の発展を祈念して、私の挨拶とさせていただきます。
本日ここに、北海道大学スラブ研究センター創立50周年式典が挙行されるにあたり、一言お祝いの言葉を申し上げます。
スラブ研究センターは、昭和30年に設置された北海道大学法学部附属スラブ研究所を「スラブ地域(旧ソ連、東欧)に関する総合的な研究を推進する」ことを 目的に、平成2年に全国共同利用の研究施設として改組されました。以来、スラブ地域を研究する我が国唯一の研究機関として、スラブ地域研究関連の蔵書の整 備や、ロシア科学アカデミーや中国科学院などとの国際的な研究協力体制などの構築を図り、我が国におけるスラブ地域研究の発展に大きく貢献されていると 伺っております。
このように本センターが、常に高い研究水準を維持し、創立より50周年を迎えられましたことは、歴代のセンター長をはじめとする教職員並びに関係各位のた ゆみないご努力の賜物であり、心から敬意を表するしだいであります。
文部科学省といたしましても、附置研究所・研究施設が大学における戦略拠点であるとの認識をしていることから、その役割、機能を十分に発揮できるよう、ま た、全国の研究者が集い、共同研究等を実施するための共同利用体制の充実を、引き続き図ってまいりたいと思います。
本日御列席の各位におかれましても、本センターへの一層のご理解とご支援をお願い申し上げますとともに、中村総長および関係研究者ならびに職員の皆様の益 々のご活躍を祈念いたしまして、お祝いの言葉といたします。