スラブ研究センターニュース 季刊 2005 年春号 No.101
今年度の比較経済体制学会の全国大会は、6月4日(土)と5日(日)に桜美林大学(町田市)で開かれる。共通論題は、「市場経済の諸類型:発展途上経済と 移行経済」とされている。スラブ・ユーラシア地域関係では、共通論題について、木村雅則(松本歯科大学)、野部公一(専修大学)、塩原俊彦(高知大学)、 吉野悦雄(北海道大学)、清水学(一橋大学)、上垣彰(西南学院大学)、田中宏(立命館大学)の各氏による報告が予定されている。
3月5日に対馬で第17回西日本ロシア・東欧史研究者集会が開催された。九州、関西、中国、四国地区の持ち回りで毎年開催されているこの研究会は、日露戦 争百周年ということもあり、対馬で開催された。参加者は3月5日朝、福岡空港に集合して、同じ飛行機で対馬に行く手はずだったが、強風のために予定の便が 欠航となり、大急ぎでタクシーに分乗して港に移動し、高速フェリーで対馬に渡ることになった。「天気晴朗なれど波高し」という出だしだったが、何とかそれ ほど遅れることもなく、一行は研究会場の美津島町商工会館に到着した。研究会では、平岩貴比古氏(京都大学大学院生)が「ロシア兵捕虜への語学教育:ロシ ア語と日本語を事例として」、ポール・ワース氏(ネヴァダ大学、米国/スラブ研究センター客員)が“Imperiology and Religion : Some Thoughts on Topics and Methods”、松井康浩氏(香川大学)が「スターリニスト的公共性:1930年代モスクワにおける住宅協同組合活動の一側面」という報告をおこない、 それぞれ活発な討論がおこなわれた。会場が対馬ということで、これまでこの研究会には参加されたことのない原暉之氏や川端香男里氏も特別参加され、翌日の エクスカーションでは日露戦争ゆかりの地をバスでまわった。次回は、関西地区で開催予定だが、詳細は未定。
2005年 |
|
6月4−5日 |
比較経
済体制学会全国大会 於桜美林大学(記事参照) |
7月7−8日 |
スラブ 研究センター夏期国際シンポジウム(記事参照) |
7月9日 |
地域研 究コンソーシアム・シンポジウム(記事参照) |
7月25−30日 |
ICCEES
(国際中・東欧研究協議会)第7回世界会議 於ベルリン 詳しい情報は http://www.rusin.fi/iccees/ |
9月29−10月2日 |
中央ユーラシア学会(CESS)於ボストン大学 |
10月7−9日 |
2005
年度日本ロシア文学会定例総会・研究発表会 於早稲田大学 |
10月15−16日 |
ロシア東欧学会2005年度大会 於西南学院大学 |
10月22−23日 |
2005
年度ロシア史研究会大会 於成蹊大学 詳しい情報は http://wwwsoc.nii.ac.jp/jssrh/ |
12月14−16日 |
スラブ研究センター冬期国際シンポジウム |
センターのホームページ(裏表紙参照)にはこの他にも多くの海外情報が掲載されています。
北大大学院文学研究科歴史地域文化学専攻スラブ社会文化論専修の今年度の新入生は、修士課程5名、博士課程7名でした。4月現在の在学生は以下の諸 君で す。
氏名 |
学年 |
研究テー
マ |
指導教員(正/副) |
|
---|---|---|---|---|
天野尚樹 |
D3 |
北東アジア国際関係史:日本・中国・ロシアの国境概念 |
原 |
岩下 |
倉田有佳 |
D3 |
在日亡命ロシア人 |
原 |
荒井 |
桑島裕子 |
D3 |
ザバイカルと国際関係:1890年代-1930年代 |
原 |
宇山 |
志田恭子 |
D3 |
帝政ロシアにおけるバルカン政策からみたベッサラビア統治 |
松里 |
原 |
クリフツォフ ドミトリ |
D3 |
日本・ロシア・中国の三角関係と米国 |
岩下 |
林 |
山本健三 |
D3 |
ロシア政治思想史におけるドイツ人・ポーランド人 |
松里 |
望月 |
水谷 剛 |
D3 |
テレキ・パール研究 |
家田 |
林 |
秋山徹 |
D2 |
帝政ロシア植民地時代の中央アジア |
宇山 |
原 |
須田将 |
D2 |
中央アジアにおける「市民社会」とその「建設」 |
宇山 |
岩下 |
オイドフ バトバヤル |
D2 |
モンゴルの独立とロシア・モンゴル関係(1911年〜1921年) |
原 |
岩下 |
大武由紀子 |
D2 |
ソ連期プロパガンダ・ポスターについて |
望月 |
原 |
加藤美保子 |
D1 |
ロシアの安全保障とアジア太平洋の地域主義 |
岩下 |
林 |
立花優 | D1 | カスピ海をめぐる国際関係とアゼルバイジャンの政治 | 宇山 | 松里 |
井上岳彦 | D1 | 帝政ロシアとカルムィク人 | 宇山 | 原 |
武藤玲子 | D1 | モルドヴァ共和国における移行政治 |
松里 | 林 |
小野田悦子 |
D1 |
ロシアの対外外交におけるスポーツの軍事的役割 |
原 |
望月 |
左近幸村 |
D1 |
帝政末期のロシア極東 |
原 |
松里 |
金野雄五 |
D1 |
ロシア経済と対外経済関係の自由化 |
田畑 | 山村 |
平塚慈 |
M2 |
EUの東方拡大とロマ問題 |
林 |
家田 |
麻田雅文 |
M2 |
ロシアによる満州経営−東清鉄道を中心に− |
原 |
岩下 |
齊田えり |
M2 |
帝政末期のロシアにおける国内農業移民 |
原 |
山村 |
笹村久美子 | M2 | 独立後ウクライナの国家建設:ロシアとの比較において | 松里 | 林 |
当銘祥子 | M2 | フルシチョフ期のソ連外交 | 岩下 | 林 |
三浦賢二 | M2 | ハンガリー人をめぐる民族問題 | 家田 | 林 |
大坪 春奈 | M2 | 戦間期ルーマニア外交と地域協力 | 林 | 家田 |
中村 由香理 | M2 | 中央アジア、ムスリム宗務局と民衆イスラームの関係性 | 宇山 | 山村 |
封 安全 | M2 | 日・中・露三国経済関係 | 田畑 | 荒井 |
藤原 一也 | M2 | ソ連社会における情報伝達 | 望月 | 荒井 |
湊 剛将 | M2 | 非承認国家連合加盟国の比較研究 | 松里 | 宇山 |
宮澤 謹次 | M2 | ミハイル・バフチンのドストエフスキー研究 | 望月 | 宇山 |
ワシレフスカヤ ビクトリヤ |
M2 | ロシアにおける石油・ガス部門への外国投資 | 荒井 | 原 |
桜間 瑛 |
M1 |
タタール人の民族・宗教意識 |
宇山 |
松里 |
望月映子 |
M1 |
ロシアの対CIS外交 |
岩下 |
林 |
竹村寧乃 |
M1 |
アゼルバイジャンの言語政策 |
前田 |
宇山 |
吉田真由美 |
M1 |
ロシアの学校における文学教育 |
望月 |
荒井 |
劉 旭 |
M1 |
ロシアのエネルギー戦略 |
荒井 | 田畑 |
2004年12月から2005年3月までの4ヵ月間における、センターのホームページへのアクセス数(但し、gif・jpg等の画像形式ファイル を除く)を統計しました。
|
全アクセス数 (1日平均) |
うち、 邦語表紙 アクセス数 (1日平均) |
うち、 英語表紙 アクセス数 (1日平均) |
国内からの アクセス数 (%) |
国外からの アクセス数 (%) |
不明 (%) |
---|---|---|---|---|---|---|
12月 |
262,153 (8,457) |
12,459 (402) |
2,443 (79) |
188,107
(33.6%) |
12,2508
(46.7%) |
51,538 (19.7%) |
1月 |
295,743 (9,540) |
12,737
(411) |
3,244
(105) |
114,033 (38.6%) |
142,843
(48.3%) |
38,867 (13.1%) |
2月 |
286,177 (10,220) |
12,137 (433) |
3,309 (118) |
92,107 (32.2%)) |
157,248 (54.9%) |
38,867 (13.1%) |
3月 |
278,857 (8,995) |
11,924 (385) |
2,683 (87) |
89,053 (31.9%) |
158,677 (56.9%) |
31,127 (11.2%) |
和文学術雑誌『スラヴ研究』第52号は5月に刊行予定で、現在印刷作業を進めています。内容はニュース前号に掲載した通りです。
また、次の第53号(2006年春刊行予定)の原稿締め切りは8月末です。投稿希望者は、6月末頃までに大須賀までお申し込みください。投稿規程などはセンターのホームページに掲載さ
れていますので、ご参照ください。
センターの欧文学術雑誌Acta Slavica Iaponica Tomus 22 (2005)が3月に発行されました。以下の論文等が掲載されています。また、次号Tomus 23の投稿が3月末に締め切られました。
ARTICLES | |
Swain, Nigel | Inexperienced and Impotent: Rural Local Govenment in an Eastern European Meso-Area in Statu Nascendi |
Znamenski,
Andrei |
Power of Myth: Popular Ethnonationalism and nationality Building in Mountain Altai, 1904-1922 |
Pavlov, Dmitrii |
Китай, 1904-1905: русско-японское идейно-пропагандистское противостояние |
Kano,
Tadashi |
Думское законодательство начала ХХ в. и его значение для государственного единства Российской империи |
Buldakov, Vladimir |
Системные кризисы в России: сравнительное исследование массовой психологии 1904-1921 и 1985-2002 годов |
Yoshiro,
IKEDA |
The Reintegration of the Russian Empire and the Bolshevik Views of “Russia”: The Case of the Moscow Party Organization |
Hanya, Shiro |
Секретный доклад Н.С. Хрущева и восстановление автономных территорий в 1957 г. Tamara Hundorova |
Hundorova,
Tamara |
The Melancholy of Gender |
Kim, Hyun-young |
Строфика И. Бродского как автометаописание (на материале цикла 《Двадцать сонетов к Марии Стюарт》) |
Maruyama,
Yukiko |
К вопросу о порядке слов в атрибутивных словосочетаниях в русском языке конца XVII в. (на основе анализа редакций 《Жития протопопа Аввакума》) |
Ivanova, Blagovesta |
Средневековые компоненты в структуре живописного портрета на заре нового времени в странах восточной и юго-восточной Европы |
SOURCES AND ARGUMENT | |
Bobrov,
Aleksandr |
Проблема подлинности 《Слова о полку Игореве》 и Ефросин Белозерский |
RESEARCH NOTES | |
Williams, Brad | Sakhalin's Governors and the South Kuril Islands: Motivating Factors Behind Involvement in the Russo-Japanese Territorial Dispute |
Tsiunchuk,
Rustem |
Открытие I Государственной Думы: народы, регионы, власть |
BOOK REVIEW | |
Bobrov, Aleksandr | THE GENEALOGICAL TABLES OF RUSSIAN HISTORY. New Edition. Edited by Ryohei Kisaki. Kagoshima University, 2002. Vol. 1-7. |
Chapter 1. | Sino-Japanese Competition over the Russian Far East: Is the Oil Pipeline Only a Starting Point? | ............ |
Gilbert ROZMAN |
Chapter
2. |
The
Russian Far East's Security
Perspective: Interplay of Internal and External Challenges and
Opportunities |
............ |
Sergei
SEVAST'IANOV |
Chapter
3. |
Japan's
Security and the Russian
Far East |
............ |
NAKANO
Junzo |
Chapter
4. |
China's
Security Interests in
the Russian Far East |
............ |
NI
Xiaoquan |
Chapter
5. |
Korean-Chinese
Migration into
the Russian Far East: A Human Security Perspective |
............ |
Jeanyoung
LEE |
Chapter
6. |
An
Inquiry for New Thinking on
the Border Dispute: Backgrounds of "Historic Success" for the
Sino-Russian Negotiations |
............ |
IWASHITA
Akihiro |
『ロシアの中の アジア/アジアの中のロシア(II)』が21世紀COE研究報告集No.5として1月に発行されました。本報告集は、論文4編と講演1編、合計5 編(うち巻頭論文を除く4編は「サハリン・樺太の歴史」特集)を集め、巻末に附録Ⅰ「『ロシアの中のアジア/アジアの中のロシア』研究会の歩み (2003−2004)」、附録Ⅱ「スラブ研究センターにおけるサハリン地域研究関連の企画(2003−2004)」をおさめています。論文・講演は以下 の通りです。
論文 | 日露戦争期ロシア軍のなかのムスリム兵士 |
長縄宣博 |
「ロシア」の範囲:帝政期サハリンにおける「想像のロシア化」 | 天野尚樹 | |
ウラジミ ロフカから豊原へ:ユジノ・サハリンスク(旧豊原)における初期市街地の形成過程とその性格 | 井澗裕 | |
サハリン朝鮮人のソ連社会統合:モスクワ共産党文書が語る1950年代 半ばの一断面 | 半谷史郎 | |
講
演 |
ブロニス ワフ・ピウスツキの足跡を尋ねて40年:就中、その極東滞在の究明 | 井上紘一 |