ITP現地セミナー
「Transitions and Turning Points in 20th-century Russo-Japanese Relations:
1917, 1945, 1991」(2013年1月29日開催)について
シュラトフ・ヤロスラブ SHULATOV Yaroslav
(ITP第5期フェロー、派遣先:ハーヴァード大学デイヴィス・センター)[→プロフィール][→プログラム]
2012年度、ITPフェローとしてハーヴァード大学デイヴィスセンターに派遣された。
ITP現地セミナー「Transitions and Turning Points in 20th-century Russo-Japanese Relations: 1917, 1945, 1991」は、
2013年1月29日にデイヴィスセンターで開催された。小生の研究課題は「20世紀前半における日露・日ソ関係」であったが、
20世紀全体において両国関係の全体像を描きたいと思い、この時期の最も重要な転換期、とりわけロシア革命(1917年)、
第二次世界大戦終焉(1945年)とソ連邦の崩壊(1991年)に絞り込み、日米の専門家を招待し、議論を展開することを目指した。
小生の担当した研究課題は、ロシア帝国が崩壊し、ソビエト・ロシアという新たな国家・体制が生まれる中で、
対日政策の構造及びアプローチはどのように変わったかを追究することであった。
1945年の転換点は、冷戦研究などの分野において優れた業績を持つデヴィッド・ウルフ教授にお願いし、
1991年前後の情勢は、日露領土問題をめぐる交渉や露中関係などに詳しい岩下明裕教授に依頼させていただいた。
両方ともの先生は北海道大学スラブ研究センターの先生でもあり、この案を快諾していただいた。
本セミナーの課題は、日露両国の歴史に関わるものであるため、コメンテーター役は、
ハーヴァード大学エドウィンO.ライシャワー日本研究所所長を務めたA.ゴードン(Andrew Gordon)と教授、
ハーヴァード大学デイヴィスセンター所長のT.マーティン(Terry Martin)教授に依頼した。前者は、アメリカの日本研究を代表する研究者であり、
後者は、ソ連史研究において著名な研究者である。両先生には、アメリカの日本研究とロシア研究の観点からコメントをいただくことを狙った。
現地セミナーの開催に当たり、デイヴィスセンターから全面的な協力をいただき、ライシャワー研究所にも共催組織になっていただいた。
そのお陰で、ロシアと日本に関心のある研究者、有名な学者などが集まり、40人ほどのフロアになった。
まず、小生は、ロシア帝国末期の対日政策の構造を描き、軍部や外交官、中央の地方の立場を明らかにしつつ、帝政期とソ連期の連続性について論じた。
ウルフ先生からはスターリンの対日姿勢及び戦後秩序に関する立場について、岩下先生からは、領土問題を中心としてソ連崩壊前後の日ソ・日露交渉について報告していただいた。
コメンテーター役の先生方からコメントをいただいた後、フロアから発表者各自に対する質問がたくさん出て、活発な議論になった。
その後、デイヴィスセンターは懇親会を開き、日本とロシアの料理に囲まれ、本セミナーはとてもにぎやかな雰囲気で終了した。
(Update:2014.02.19)
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