ITP International Training Program



第1回 真駒内英語キャンプ

(2008年3月10—22日)

 いまも昔も、日本の文系学問を国際化する上での最大の障害が、英語表現力の乏しさであることには変わりはないでしょう。現地語に熟達したのと反比例するかのように、若い世代の英語力は年配世代と比べてももっと落ちたようにさえ感じられます。ITPを開始する企画、また21世紀COEを締めくくる企画としてふさわしいのは、まさにこの問題を直視するものではなかろうか? という趣旨で、年度末も押し迫った2008年3月に札幌・真駒内セミナーハウスを2週間借り、全国からポスドク研究者や有望大学院生を18名招聘して英語キャンプをおこないました。ウルフ教授の人脈で第一級の英語トレーナーを組織することができ、また、いつもながら青島研究員の組織力には驚かされました。しかし、このような企画が忽然と現れて大成功してしまうのは、何よりもまず、若手研究者が英語表現力の向上を渇望しているということの反映でしょう。


 参加者は、2週間、私的な会話でも英語以外の言語は自発的に放棄しました。報告にあたっては準備 した原稿を読み上げ、質疑応答が始まると全く返答できない日本人の典型的な国際学会マナーが排除され、「読まずに話す」訓練が積まれました。報告や発言はビデオにとられ、参加者は自ら批判的にそれを観察し、見栄えの悪い癖は克服するよう指導されました。参加者の感想のいくつかをここで紹介しましょう。



     ・「原稿を読みあげないこと」乗松亨平
       (第1期ITPフェロー、オックスフォード大学に派遣)


     ・「話芸としてのスピーチ」越野剛
       (SRC COE共同研究員)


     ・「同世代研究者の知の連帯」武田友加
       (早稲田大学政治経済学部助教)


     ・「心理的な壁を乗り越える」半谷史郎
       (第1期ITPフェロー、ハーヴァード大学に派遣)


     ・「プレゼンテーションにおける準備の重要性」桜間瑛
       (北海道大学文学研究科博士後期課程)


     ・「雪解け」佐藤圭史
       (学術振興会特別研究員PD)



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