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【大学院共通授業科目】 (集中講義)
「スラブ・ユーラシアの20世紀:方法としての伝記」
日 時: 2015年2月9日(月)、10日(火)12日(木) 場 所: スラブ・ユーラシア研究センター4階404(セミナー室1) 趣 旨: 本講義では、現代世界の構造を理解する上でソ連と東欧の20世紀を知ることが不可欠だということを改めて確認する。その際、激動の世紀を生きた具体的な個人の生に焦点を当てることで、彼らが直面した困難な選択を肌身感覚で捉えることをめざす。 成績評価: 授業への出席率、内容の理解度、討論への参加度によって評価する。欠席は減点の理由となる。 問合せ: 長縄(E-mail: luch<at>slav.hokudai.ac.jp、<at>は@ に変換してください)
2月9日 9:30〜12:00: (2コマ分):宇山智彦(スラブ・ユーラシア研究センター) 13:30〜16:00: (2コマ分):宮崎悠(北海道教育大学教育学部国際地域学科) 2月10日 9:30〜12:00: (2コマ分):長縄宣博(スラブ・ユーラシア研究センター) 13:30〜16:00: (2コマ分):松里公孝(東京大学大学院法学研究科) 2月12日 9:30〜12:00: (2コマ分):越野剛(スラブ・ユーラシア研究センター) 13:30〜16:00: (2コマ分):デイヴィド・ウルフ(スラブ・ユーラシア研究センター)(この回は英語で行なう)
2月9日 9:30-12:00 宇山智彦 講義題目: 民族運動と国家統治の人的ファクター:近代カザフ知識人の出会いと情念 要 旨: ロシア帝国末期から革命・内戦期、ソ連初期という激動の時代に民族の生存・発展のために奮闘したカザフ知識人たちの生涯と事績を、集合伝記的に分析する。彼らがどのようにネットワークを形成し、社会・政治・文化・国際問題にどのような認識と情熱をもって取り組み、何をめぐって対立したか、また彼らとロシア帝国・白軍・ソヴィエト政権の権力者たちがいかに複雑な関係を結んだかを検討することにより、人々の個性と出会いや交渉が歴史の中で果たす役割を理解する。 参考文献: 宇山智彦「20世紀初頭におけるカザフ知識人の世界観:M.ドゥラトフ『めざめよ、カザフ!』を中心に」『スラヴ研究』第44号、1997年。
宇山智彦「セミパラチンスク州知事トロイニツキーとカザフ知識人弾圧:帝国統治における属人的要素」中嶋毅編『新史料で読むロシア史』山川出版社、2013年。13:30-16:00 宮崎悠 講義題目: ワルシャワ・ゲットーの歴史家:リンゲルブルム・アーカイヴより 要 旨: 戦間期ポーランドにおいてユダヤ人マイノリティが、ポーランドのナショナル・ヒストリーが形成されるのに対抗し、どのようなポーランド=ユダヤ関係史の構築を試みたのかを検討する。その際、事例として、ワルシャワを拠点に研究・教育・貧困層対策等を行った歴史家リンゲルブルム(Emanuel Ringelblum, 1900-1944)らの活動に着目する。第二次大戦中の膨大な「ワルシャワ・ゲットー地下文書」の収集・編纂活動や、同時期に執筆された著作の資料的価値を検討する。 参考文献: エマヌエル・リンゲルブルム、大島かおり訳『ワルシャワ・ゲットー:捕囚1940-42のノート』みすず書房、2006年。
2月10日 9:30-12:00 長縄宣博 講義題目: カリム・ハキーモフ:ロシア革命と中東外交をつないだ男 要旨: 1917年の10月革命で権力を掌握したボリシェヴィキはどのようにして瓦解した広大な旧帝国領を回収したのか。そしてどのように国際的な地位を回復し影響力を高めたのか。本講義では、ひとりのタタール人革命家の人生がこの激動の時代によって形作られると同時に、彼自身がひとつの時代を作り出した主体でもあったことを描出する。そしてそれが「反帝国主義の帝国」ソ連の軌跡を理解する上で有効な方法であることを示す。 参考文献: 小松久男『革命の中央アジア:あるジャディードの肖像』東京大学出版会、1996年。
山内昌之『スルタンガリエフの夢:イスラム世界とロシア革命』岩波現代文庫、2009年。13:30-16:00 松里公孝 講義題目: 小さな国の有名な大統領たち:指導者から見る非承認国家 要旨: ドネツクとルガンスクが仲間に入ったことによって、非承認国家(1990年代からあったのはナゴルノ・カラバフ、アブハジア、南オセチア、プリドニエストル)という現象が新たに脚光を浴びている。旧ソ連地域に非承認国家が次々と生まれるのはなぜか。国際社会の圧力にもかかわらず、なぜ非承認国家は自主解散しないのか。こうした問いは、非承認国家の指導者たちの生い立ちや個性への関心を掻き立てずにはいない。 参考文献: 松里公孝「史上最大の非承認国家は生き残るか―『ドネツク人民共和国』」kotoba第18号(2015)174-179頁。
松里公孝「クリミアの内政と政変(2009−14年)」『現代思想』42, 7 (2014) 87−109頁。
2月12日 9:30-12:00 越野剛 講義題目: ドストエフスキーの伝記から考える20世紀 要旨: 19世紀の作家ドストエフスキーの文学は21世紀の現在においても大きな影響力を持っているが、革命運動への関与、シベリア流刑、てんかんの病、宗教的な「回心」のような作家自身の伝記的要素もまた読者の関心を引いてきた。社会主義革命とソ連崩壊をという大変動を体験した20世紀から現代にいたるロシアにおいて、ドストエフスキーの伝記がどのように描かれ、その記述が変化してきたのかを明らかにする。 参考文献: レオニード・グロスマン『ドストエフスキイ』筑摩書房、1978年
中村健之介『ドストエフスキー:作家の誕生』みすず書房、1979年
亀山郁夫『ドストエフスキー:父殺しの文学』NHK出版、2004年13:30-16:00 デイヴィド・ウルフ 講義題目: Stalin’s White Spots 要旨: My talk for “Unknown Biographies” will be on the unknown facets of Stalin's biography. Although his image was everywhere, most of his personal information was secret. Many secrets have been revealed since glasnost, but others are still unknown. 参考文献: 横手慎二『スターリン:「非道の独裁者」の実像』中公新書、2014年。
Hiroaki Kuromiya, Stalin (Harlow: Pearson/Longman, 2005).