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【大学院共通授業科目】 (集中講義)

「スラブ世界のマイノリティとその言語文化:歴史・現状・展望」

日  時: 2014年7月28日(月)〜7月30日(水)
場  所: スラブ・ユーラシア研究センター4階404(セミナー室1)
趣  旨: スラヴ世界のマイノリティ諸言語の現状と、文章語の形成に関わる諸問題について、言語そのものに加え、歴史、政治、文化など多角的な考察を行い、その特殊性と普遍性を理解する。
成績評価: 授業への出席率、内容の理解度、討論への参加度によって評価する。シラバスにあるテストは行わない。
問合せ: 野町(E-mail: mnomachi<at>slav.hokudai.ac.jp、<at>は@ に変換してください)
   
7月28日  
 9:30〜12:00: 野町(2コマ分)(スラブ・ユーラシア研究センター)
13:30〜16:00: 橋本(2コマ分)(大学院メディア・コミュニケーション研究院)
   
7月29日  
 9:30〜12:00: 三谷(2コマ分)(東京大学文学部)
13:30〜16:00: 亀田(1コマ)(東京大学文学部)・野町(1コマ)
   
7月30日  
 9:30〜12:00: 長與(2コマ)(早稲田大学政治経済学術院)
13:30〜16:00: 越野(2コマ)(スラブ・ユーラシア研究センター)

 

1日目
 講師:野町素己(SRC)
 7月28日:9時半〜10時40分
(1)題目: スラヴ世界の大言語・小言語について
要 旨: 本共通授業全体の導入部として、スラヴ諸語の言語的な特徴、地理的分布、分類方法についての基礎的な情報を提示し、それを踏まえたうえで、スラヴ世界の大言語と小言語について考察する。
参考文献: 森安達也(編著)『スラヴ民族と東欧ロシア』 山川出版社、1986
三谷惠子『スラヴ語入門』三省堂、2011
 7月28日:10時50分〜12時
(2)題目: ポーランドのマイノリティ言語に関する諸問題:特にカシュブ語に注目して
要 旨: ポーランドのマイノリティの代表的な存在であるカシュブ人の言語を題材とし、その地位の歴史的変遷および現状について考察する。
参考文献: 森安達也(編著)『スラヴ民族と東欧ロシア』山川出版社、1986
三谷惠子『スラヴ語入門』三省堂、2011
 7月29日:14時50分〜16時
(3)題目: 越境的西ポレシエ文章語創設の試みとその失敗:M・シリャホヴィッチの文章語プロジェクトについて
要 旨: 今日のベラルーシ南西部、ウクライナ北西部、ポーランド東部にかけて、歴史的にポレシエと呼ばれる地域がある。中でもベラルーシ領土内で1980年代半ばから活発化した西ポレシエ語形成運動とその顛末について考察し、スラヴの小言語世界におけるその位置づけを再考する。
参考文献: 特になし
 
 講師:橋本聡(メディア・コミュニケーション研究院)
題目: (1)言語的多様性のためのヨーロッパ共通の枠組み
(2)チェコ共和国における言語的多様性と言語問題
要旨: 東西冷戦の終結とヨーロッパ統合の進展は、スラヴの言語たちにも多大な影響を与えている。そこでこの授業では、(1)でヨーロッパ共通の言語政策の形成を 概観するとともに、(2)で、チェコ共和国において特徴的な言語的事例に目を向けることとする。モラヴィア地方やシレジア地方の言語動向についてある程度フォーカスを当てる予定である。
参考文献: 橋本聡・原田真見(編著)『言語と社会の多様性』大学院メディア・コミュニケ ーション研究院研究叢書69、2008

 

2日目
 講師:三谷惠子(東京大学)
題目: ブルゲンラントクロアチア語とソルブ語
要旨: 中欧には数多くの少数集団がいる。どうしてそのような少数集団がいるのか、またその人々をとりまく状況にはどのような相違と共通点があるのか。そしてこうした人々の存在は何を世界に示唆するのか。このような問題を、オーストリアの東端にいる、ブルゲンラント・クロアチア人と、ドイツの辺境にいるソルブ人の言語状況を比較しながら考える
参考文献: 渋谷謙次郎(編)『欧州諸国の言語法―欧州統合と多言語主義』三元社、2005年
ダニエル・バッジオーニ『ヨーロッパの言語と国民』(今井勉訳)筑摩書房、2006年
『思想』岩波書店、2012年4月号特集「『中欧』とは何か」
 
 講師:亀田真澄(東京大学)
題目: セルビアとクロアチアのあいだ―ブニェヴァツ人の言語をめぐる問題
要旨: セルビア北部のヴォイヴォディナ自治州は、6言語が公用語とされるほどの多民族地域である。この地域に居住する民族のなかには、その公的ステータスを獲得する途上にあるマイノリティ民族も少なくない。特に、ユーゴ紛争のコンフリクトを顕著に反映するかたちで、1 991年に民族としてのステータスを得た「ブニェヴァツ人」の事例に着目し、彼らの言語使用をめぐる諸問題を取り上げる。
参考文献: 柴宜弘 『図説 バルカンの歴史』、河出書房新社、2011年。
柴宜弘、石田信一(編著)『クロアチアを知るための60章』、明石書店、2013年

 

3日目
 講師:長與進(早稲田大学)
題目: スロヴァキアにおけるマイノリティと文章語形成の諸問題
要旨: 西スラヴ語グループに属するスロヴァキア語を題材として、「民族」と「言語」の関係、チェコ語との「差異」の問題、 スロヴァキアにおける「文章語」形成の特徴、「スロヴァキア」と「スロヴァキア人」という概念形成の時期の問題などを通じて、 「文章語」と「方言」の関係を考察する。東部スロヴァキア「方言」で書かれた古文書の解読も予定している。
参考文献: 長與進『スロヴァキア語文法』大学書林、2004年、薩摩秀登(編)『チェコとスロヴァキアを知るための56章』、第2版、明石書店、2009年
James Naughton, Colloquial Slovak: The Complete Course for Beginners, 2014
 
 講師:越野剛(SRC)
講義名: ベラルーシ語はマイノリティか?文学史から考える
要旨: ベラルーシ語は人口1000万近いベラルーシの公用語であるにも関わらず、ロシア語の圧倒的な影響下にあって実際には「少数言語」になってしまっている。ベラルーシ語が積極的に使用される例外的な場として文学に着目しながら、言語使用の歴史、現状、今後の展望について考察する。
参考文献: 服部倫卓『不思議の国ベラルーシ―ナショナリズムから遠く離れて』岩波書店、 2004年
服部倫卓『歴史の狭間のベラルーシ』東洋書店(ユーラシア・ブックレット)、 2004年

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