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新学術領域研究第7回国際シンポジウム
「帝国から地域大国へ、国家と非国家の間で」開催される

松 里 公孝(SRC)

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 7月4日(水)~6日(金)の3日間,スラブ研究センター大会議室で第7 回新学術領域国際シンポジウム「帝国から地域大国へ,国家と非国家の間で」を開催しました。これは,最終年度を迎えた新学術領域研究「ユーラシア地域大国 の比較」における最後の国際的な催しで,主に第2班(内政班)と第5班(社会班)が担当しました。

 1日目には,国際若手ワークショップとセオドア・ウィークス特任教授の記念講演があり ました。若手ワークショップの3件の報告は,非承認国家問題と正教会の分離独立に関わるものでシンポジウム全体の内容と呼応していました。

 2日目の基本コンセプトは「トランスナショナリズム*」 でした。これは,地域大国の強 さ は国別に政治・軍事・経済資源を測るようなやり方ではわからず,むしろトランスナショナルなアクターをうまく利用しているか,それらと協業しているかが重 要であるという第5班の基本思想から導き出されたものです。「帝国と政治地理」,「宗教政治とトランスナショナリズム」,「地域大国の周縁と『近隣外国』 を跨ぐ紛争」の3セッションが行われ,9件の報告が行われました。

 3日目の基本コンセプトは「権威主義体制」でした。中国はまだ古典的権威主義体制です し,CIS諸国(旧ソ連の一部で構成された独立国家共同体)の大半では競争的権威主義体制が成立しています。1990年代に盛んだった民主化論は,古典的 権威主義体制から競争的権威主義体制への移行を逸脱としか見ませんでしたが,今日では競争的権威主義体制は,それ自体が実証研究の対象として認められてい ます。「競争的権威主義体制の比較:理論的挑戦」,「体制転換か,それとも体制動態か?政治的揺れ戻しの比較研究」,「地域大国の権威主義的な指導者と言 説」の3セッションが行われ,9件の報告が行われました。

 若手シンポも含めた報告者の国別内訳(国籍ではなく勤務地別)は次のとおりです。日本 10名,アメリカ7名,ドイツ・イスラエル・ルーマニア・ウクライナ・オーストラリア各1名。内容上のバランスについては,パキスタンから来る予定だった 研究者が1名キャンセルになったこともあり,南アジアに言及した報告が3件にとどまったことが残念でした。

 なお,シンポジウムの後,外国人ゲストのうち希望者は,大阪大学と早稲田大学に分かれ てセミナーを行いました。


 *トランスナショナリズム 【transnationalism】
  国際関係論の理論で、国家よりも多国籍企業・国際NGOなどの国境を越えて活動するアクターに注目する


  関連リンク:シ ンポジウム プログラム



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