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ロシアのインターネット-現代文学から音楽へ-

 

尾子 洋一郎

はじめに

 20 世紀に登場した様々なメディアのうち、多くの情報をタイムラグ無しに、我々が発信・受信できるものとして、あげられる物はインターネット(the Internet)だろう。それを用いて、個人レベルから企業レベル、ひいては国家レベルで、インターネットの各種サービスを利用した情報の発信が行われている。既存のメディアとの違いは、個人が、さほどの投資をせずして、世界中に情報を発信できるという点である。パーソナルコンピュータの所有台数の増加や、インターネットの使用が飛躍的に普及した現在、コンピュータを用いて「創造」(create)した作品(映像、画像、テキストなど)を、インターネット経由で容易に他人に向けて発表することができるのである。
 インターネットでは、単なる情報発信・受信といった営みだけでなく、いわゆる「IT関連株」すなわち「Yahoo!」の株価が示す通り、また「楽天市場」がジャパニーズ・ドリームの一例として取り上げられるように(注1)、今やインターネットは私たちの経済活動の一部としても重要な位置を占めるに至っている。国際商取り引きや個人輸入も、インターネットを用いることで、格段にやさしくなった。また、一般電話回線を用いた音声通話ではなく、インターネットを用いた通話や、電子メールを用いることで、通信費が格段に下げられるといった利便性も無視できない。
 さて、本稿は、うえにあげたインターネットの使われ方のほか、もともとインターネットが持っていた性格である、個のレベルでの情報発信によってどのように芸術作品が変わり得るか、コンピュータを用いることで芸術がいかに変わり得るか、見てみることを目的とする。本稿は二部に分けられ、はじめにインターネットそれ自体について言及し、ついで、音楽について言及する。
 音楽として、本稿が扱う対象は、テクノロジーと音楽との融合という点において理解しやすい電子音楽とする。また、なかでも、最新のテクノロジーと、アンダーグラウンド・カルチャーとの融合であるダンス・ミュージック-クラブ・ミュージック-を扱うことにする。

1. インターネットとは
1.1 インターネットを利用した情報発信について
 インターネットで利用できる各種サービスの内、私たちに一番身近なものの一つとして、あげられるのが、HTTPプロトコルを用い、HTMLによって表現せれるWWW(ワールド・ワイド・ウェブ)だろう。これは、「Netscape Navigator」や「Internet Explorer」といったホームページ閲覧ソフトを使い、見ることが出来るものだ。サーバにHTMLファイルをおくことによって、先に述べたように、個人でも世界に向けての情報発信が可能になる。
 さて、ロシアのインターネット事情について触れる前に、「インターネット」それ自体について触れておきたい。
 インターネットは、1969年にアメリカの国防総省高等研究計画局が始めたARPANETに端を発する世界的な規模のコンピュータネットワークをさす。もとが軍事・教育利用が主であったため、それまでは学術用途が多く、例えば各種電子テキストや、例えばダニエル・ジョーンズの基本母音の音声を聞くといったことが中心で、現在のような商業サイト、個人サイトが爆発的・飛躍的に増えたのは95 年以降のことである。
 なお、日本では1984年に東京大学・慶応義塾大学・東京工業大学が実験的に始めた学術ネットワーク(JUNET)プロジェクトが最初のインターネット導入例である。一般にインターネットが開放されてからも、接続料金の高さ、コンピュータ自体の価格の高さで、その利便性にも係わらず、すぐにはインターネットが本格的には普及はしなかった。その後、コンピュータ価格の下落、インターネット接続料金の引き下げ、NTT による定額制サービスや、電子メールプロトコルを実装した携帯電話の普及と相まってインターネットに接続できる端末の数は飛躍的に増えた。
 ロシアでも事情は同じで、年を追うごとにインターネットに接続されている端末の数は文字どおり桁違いに増えている(表1、2)。Alex Tutubali 氏の調査(http://www.lexa.ru:8104/ru-survey/)によれば、端末の数は以下のようになる。氏の調査によれば、総ホスト数は一年間で2倍以上になっていることがわかる(注2)。ただ、ロシアの商用サイトの場合、コンテンツにオンライン決済を含むものは、ホストのドメインがアメリカであることも多い。(注3)

1999 年12 月
2次ドメイン 全ドメイン ホスト総数
.ru 18091 37257 328938
.su 125 1667 33525
1998 年12 月の調査
2次ドメイン 全ドメイン ホスト総数
.ru 9113 19852 237241
.su 130 1391 33431

 

  表1

 

表2

1998 年4月の調査
2次ドメイン 全ドメイン ホスト総数
.ru 5798 11567 154070
.su 129 1016 48095

  

(.ru はRussia .su はSoviet Union を示す。ソ連邦崩壊後もsu ドメインが使われていることに注目)

1.2 インターネットの双方向性を模索した人々とその概念
1.2.1 ハイパーテクスト(Hyper Text)について
 WWW のもつ重要な要素としてあげられるのが、いわゆる「ハイパーテクスト」の実現である。ウェブ閲覧ソフトで見ているホームページ内の「リンク」をたどることで、他のホームページへとジャンプすることができたり、動画や音声を見ることもできる。
 そもそも、ハイパーテクストとは、Theodor Holm Nelson(1937- 現在慶応義塾大学湘南藤沢キャンパスにて客員教授。http://www.sfc.keio.ac.jp/.ted/) が1964-5年に提唱した概念である。この単語の初出は彼の著書"Computer Lib/ Dream Machines"である。
 「今までの著作物は無数の可能性の中から一つの説明の筋道を選ぶという形式をとるが、HyperText は読者にたくさんの筋道、可能な限りの筋道を提供してくれる。」"Literary
Machines" とある通り、ハイパーテクストとは、それまでのメディアでは実現が難しかったテクストの双方向性を実現できるものである。(c.f. コルターサル『石蹴り遊び』1963 この作品では一つの作品を複数の読み方ができるように、作者によって指示がされてある。一種のハイパーテクストと考えられ無くもない。また、本文に記された選択肢に従い、サイコロを振り、その目にあわせてページを進めてゆき、物語を進行させてゆく、「アドベンチャー・ブック」というものが1980 年代後期に登場したのもハイパーテクストへの過程であると考えても良いかもしれない。)
 なお、個人レベルでハイパーテクストを作る環境を提供したものとして、あげられるのが"HyperCard"(1987- 米アップルコンピュータ)である。これはカードを積み重
ねた「スタック」という概念を用いており、一枚のカードにはられたリンクから、任意のカードへジャンプできるものである。カードの中に、音声や画像を貼りつけることもでき、WWW が普及する以前にハイパーテクストを容易に実現できたものとして特筆すべきものである。また、オーサリングソフトとしての可能性も持つ。

1.2.2 今日のHTML の概念
 科学研究開発庁(the Office of Scientific Research and Development)の長官であった、Vannevar Bush の論文、"As we may think."(1945)でHTML の概念が発表される。それは、6000 人にも及ぶアメリカの、最先端の科学者らに、戦禍を逃れて情報伝達をする手段を模索するものであり、これが、インターネット構想へとつながる。そして先に述べたARPANETとして、結実することとなる。彼の概念はT.H.Nelsonに影響を与えることとなった。Bush に影響を与えたものとして、エマソン(Emerson)の「アメリカの学者」1837 という作品がある。

1.2.3 WWW 構想とHTML
Tim Berners Lee(1955-)が欧州素粒子物理学研究所(the European Particle PhysicsLaboratory : CERN)においてインターネットでハイパーテキストを通じての研究者らとの共同作業の可能性をさぐり、どのようにして情報を行き渡らせるかという大問題をクリアするための作業の過程から生まれたアイデアであるWWW というシステムと、またそれを実現するための言語としてのHTML を1989 年に発表。同構想を実現させるためのクライアントとサーバを1990 年に発表。彼によって、Bush とT.H.Nelson の構想が融合し、今日におけるインターネットの隆盛が実現されたのである。

2.0 テクノロジーと芸術 文学から音楽へ
 先に述べたように、インターネットを用いることで、既存のメディアでは実現できなかった手法を個のレベルで行うことができる。では、実際にロシアの場合を見てみたい。
文学については本稿の中心ではないので言及するにとどめる。
2.1 ロシアでの最初のハイパーテクスト小説(1995)読者参加型
http://www.sharat.co.il/krok/hyper.htm
http://www.cs.ut.ee/.roman_l/hyperfiction/

作者から読者へといった、一方通行であった著述活動に読者が直接、タイムラグがさほどない状態で、参与することによって新たな創造の可能性を作り出す。日本では、パソコン通信を用いた筒井康隆の『朝のガスパール』が成果としてあげられよう。

2.2 コンピュータと音楽との場合
 パーソナルコンピュータが普及し、個人レベルでも購入することができるようになり、また同じく、シンセサイザー、サンプラーも価格が桁違いに下がり、個人でも購入できるようになり(例えばサンプラー、シーケンサーがあげられよう。数千万円していたものが、それよりも性能の良い物がわずか数万円で手に入るようになった)、その結果、個人でも、(才能の有無はともかくとして)プロレベルの品質で楽曲を作ることができるようになった。それまで、熟練した技術を要する印刷・製版・組版を一台のパーソナルコンピュータで実現可能にしたDTP(Desktop Publishing)と同じく、デスクトップ・ミュージック(DTM)の発展により、楽器が演奏できなくとも、楽曲を作ることが可能になった。

図 波形編集ソフトの例

3.0 音楽の場合
3.1 テクノ・ハウスミュージック- Remix の概念
 コンピュータを使った音楽、コンピュータと音楽との融合で、わかりやすいものとして、電子音楽があげられる。技術の進歩と共に、その音楽の持つ性質が変化し、より一般的になったのは、日本の例をあげるならば、Y.M.O.(Yellow Magic Orchestra 1979-1983)により、シンセサイザーがポピュラー音楽の領域で用いられるようになったことを考えると理解しやすい。
 なかでも、コンピュータのもつ最新技術を常に取り入れているものとして、クラブ・ミュージックの中で、テクノ・ハウスミュージックがあげられる。これは、既存の楽曲の一部をサンプリングし、曲を再構成するものであり、聴くための音楽というよりはむしろ、体で消費するための音楽と言うことができる。また、いわゆる「若者文化」と密接につながり、クラブにおいて流行った手法がしばらくして、FMやTVのヒットチャートをにぎわす例は枚挙にいとまがない。例えば日本で例を出すとすれば、宇多田ヒカル、m-flo、Misha といったアーティストの楽曲を想起すればよい。アメリカではCher の「Believe」をイメージするとわかりやすい。この曲に限って言えば、コンピュータとクラブカルチャーとハウスミュージック、リミックスの概念が融合した好例である。またMadonna の「Music」も同上の理由により、好例である。
 さて、コンピュータを用いることで、芸術作品がどのように変容するのか、音楽で見る場合に、「リミックス」の手法に着目してみたい。「リミックス」とは、本来は録音技術の用語であるが、今日では一般的な意味合いにおいては、既存の楽曲を解体し、曲のコード進行や一部の音声を換骨奪胎し、解体・再編成し、新しい意味合いの付与を行うものである。そのため、リミックスは、リミキサーのオリジナルとして認知される。換言すれば、リミックスされた曲は、リミキサーのオリジナル曲である。例えば、1970 年代にディスコでヒットした曲カレン・ヤングの「Hot Shot」は90 年代後期にリミックスされ「Hot Shot'97」として新たに命を吹き込まれ曲の再解釈・再発見へとつながった。
 リミックスの手法において、原曲が持っていた「歌詞」は呪文へと変容する-歌詞は寸断され、再統合される-のである。例を出すと、「
Расцветали яблонь... 」とあったとすれば、曲のリズムやテンポに併せて、「 Рас 」だけを抽出し強調し、歌手の歌声を一種の楽器として用いることによって、歌詞が持っていた意味はその意味を失い、単なる「音」として用いられる。その結果、楽曲の一部として、人間の発する音としてのみ、聴き手には知覚され、歌詞本来のもつ諸属性は失われる。こうした音声抽出、音声の物理的な波形変換に用いられるのがコンピュータである。

3.2 電子音楽としてのテクノ・ハウスミュージック
 さて、前項でリミックスについて述べた訳であるが、ここではテクノ・ハウスミュージックについて述べたい。
 先ほど、体で消費する音楽と述べたが、これら音楽は大音量で流されることを前提に、すなわち、クラブで流されることを前提として音域の調整などがなされていることが多い。
 テクノ・ハウスミュージックと一括りにしてしまうのは問題があるが、この音楽ジャンルの特徴的な要素をあげるとしたら、以下の2点に集約されるだろう。

1) 爆音と恍惚-トランス状態へ~音楽の持つ呪術・魔術的要素~サンプリングと反復-ミニマリズム
2) 踊るための音楽、Dj 用素材としての音楽-「4つ打ち」のリズム-「機能」音楽としてのテクノ・ハウスミュージック

 緩急はあるが、基本的に同一のリズムパターンで、それに上声部を重ねてゆくこれら音楽は、それ自体、呪術的な性格を帯びる(c.f. カッワーリー、ケチャなどの民俗音楽の持つ性格との類似)。それはひとえに、バスドラムとハイハットの出す、タイトでジャストなリズム、すなわち「4つ打ち」に起因する。鑑賞するためというよりも、踊るための音楽という性格を帯びるのである。

3.3 テクノ・ハウスミュージックの背景
3.3.1 歴史
 20世紀は、様々な電子楽器が登場した世紀でもあり、今日のシンセサイザーの元祖であるテルミン(Theremin -
Теременвокс )からはじまり、サンプラー、シーケンサーと、技術の進歩と楽器が、インターネットに劣らず、発達した。
 電気というテクノロジーと音楽の融合としては、まずはクラシック(現代音楽)のジャンルから生じた。シュトックハウゼン、クセナキス、メシアンといった作曲家が各種電子楽器を用いた楽曲を作曲している。なかでもシュトックハウゼンがポピュラーミュージックのフィールドに与えた影響は大きく、シュトックハウゼンに影響を受けたクラフトワーク(Kraftwerk)を源泉にテクノ、ヒップホップ、ハウス、といった各種ダンス・ミュージックが発生した。
 ハウスミュージックとは、シカゴのゲイ・クラブカルチャーで生じた、R&Bと電子音楽の融合と一般的にいわれており、ボーカルが主体で、原曲が分からなくなるといった派手なリミックスは行われていないのが特徴である。それにたいして、デトロイトで発達したテクノミュージックは、ヨーロッパのそれがもっていたある種、無味乾燥な機械的な音を全面に打ち出し、ボーカルが入っていないことがおおい。いずれも、今日では境界が曖昧になり、さらに多くの下位ジャンルを生み出した。
 例えば、ドイツ語文化圏ではプログレッシブテクノ・ハウス(ドイツ、ベルギーなど)といったものが発達し、よりアグレッシブでBPMの速いものになっている。ドイツでは、Love Parade といった、街をあげてのテクノ・ハウスイベントが毎年開催され、驚異的な動員数を誇っている。イギリスでは、ゲイ主導のクラブカルチャー(TRADE etc.)として発達し、アンダーグラウンド・カルチャーとして、かつ、最先端を行く音楽として認知されている。
 さて、本題のロシアであるが、ロシアでのクラブカルチャーの起源は不明である。ただ、90 年代にロシアで最初のクラブ(1993-1997)「トンネル」ができ、テクノ・ハウスミュージックが流されていたことは、http://x-terburg.piter.net によって、確認できる。
 以上述べたように、今日のテクノ・ハウスミュージックのルーツがアメリカにあり、ロシア起源ではないが、ロシアでも発達しつつあることを次項で述べる。
3.4 ロシアのポピュラーミュージック-クラブミュージック
 今日ロシアにいけば、様々な種類のカセットテープを目にすることができる。それは、間違いなくDTM の手法を取り入れ、コンピュータによって音声処理されたものであると、つまり、シンセサイザーを用い、音声をサンプリングした楽曲であることに気付く。
仮に、
КИНО АКУВАРИУМ が古い世代のアーティストだとすれば、現在ロシアのテレビで放映されているミュージッククリップに出演しているアーティストは明らかに新しい世代である。それは年齢ではなく、機材ついてである。
 出演している彼らのファッションは欧米や日本と同じように、「若者」に影響を与えるだろうことは予想に難くない。先に述べたように、アンダーグラウンドカルチャーであるクラブカルチャー(ファッションや音楽も含めて)が「オン」グラウンドへと移行する様は、洋の東西を問わず同一であろうと推測できる。そこで、メディアのはたす役割は等閑視できず、なかでも、インターネットの機能は大きい。ロシアのFM やTV といったメディアは周波数帯域の関係から、日本や南半球では、特別な機材を入手する他、伺い知ることはできないが、インターネットでは、R e a l A u d i o やQ u i c k T i m e、WindowsMediaなどによるストリーミング放送によって、インターネットに接続できる環境にさえあれば、さほどのタイムラグなしに、ロシアのエッジな部分を知ることができる。

図版左:Windows
MediaPlayer
右:RealAudio

3.5 テクノロジー・音楽・インディビジュアリズム
 コンピュータ、DTM とインターネットが融合したときに、どうなるのだろうか。
 個人レベルで情報の発信をできるインターネットを利用して、商業活動に制約されない、もしくは商業的には成功しない、楽曲の提供が有償・無償を問わず行わうことができるのである。新聞雑誌をにぎわしているMP3(MPEG1-Layer3)で発信すればMD(MiniDisc)レベルの音質で音声の発信が可能になった。それによって、個人単位での音楽の発信が可能になり、既存の音楽産業に依存しない形態での音楽の発信が世界に向けてできるのだ。そのことにより、個人レーベルが実際に生まれており、新たな音楽産業が発生している。AOL とタイム・ワーナーグループの合併もこれを物語っている。
 実際に、インターネットにより、自身の楽曲を世界に発信しているロシアのテクノ・ハウスミュージシャンの例をあげたい。

3.5.1 ロシアのハウス・テクノミュージシャン
ППК (1998 結成Sergej Pimenov とAleksandr Porjakov とのユニット)
http://www.ppk.ru/

彼らの経歴は以下の通りである。
Sergej Pimenov
RADIO103 のDj を1992 から開始。
1993 年からクラブDj を開始
1998 年のロストフでの屋外レイヴパーティーに参加
1998 年12 月ファーストアルバム
Aleksandr Porjakov
(オフィシャルデータによれば)詳細不明
1993 年にFudzijama というシンセサイザーを購入
1994 年にヤマハのシンセサイザー51(?)を買う
1997 年からA&J Records で働き出す
PPK ではアレンジ、作曲で参加。

図版: ППК のサイトから

 

 

 

 楽曲は彼らのホームページで聴くことができ、また、http://www.mp3.comで購入することもできる。彼らが、「ハウス・トランスミュージックのプロデューサー」とうたっているとおり、現在のクラブシーンでも十分に通用するに足るクオリティの高い、ダンス・ミュージックを発信している。先に述べたように、「4つ打ち」、サンプリング、リミックスといった手法を完全に自己薬籠中のものとし、ボーカルトラックがなければ、それがロシアのものだとわからない程度になっている。つまり、欧米のクラブシーンで対等に勝負できるクオリティーである。それまで、「オリエンタル」な視点で日本では語られがちであった、ロシアのポピュラーミュージックも、彼ら、ロシアのテクノ・ハウスミュージシャンたちの業績によって、同等な視点で語られる日も近いだろう。

最後に、ロシアのテクノミュージシャンであるdj Zodiac のインフォメーションをあげておきたい。(原文のまま引用。出典はMP3.COM より)

Artist Info
Artist description
     I'm 25. I'm dj and techno maker. All in one.I create myown club in my town. Now I'mlooking
for promoters and guys for commonprojects.
Music style:
     techno/minimal/deep techno/deep house
Musical influences:
     techno teams work in the same direction
Similar Artists:
     lots of techno teams
Artist history:
     I compose music since 1995.I'm DJ since 1997.
Instruments:
     PC and some of music hardwares
Albums:
     some manipulations, the second work, the 3rd work, the 4th work, 5th
Additional info:
     ... and lots of DJ's works
Location:
     Tver, Russia

参考メディア
Gllinsky, A "Theremin : Ether Music and Espionage" , University of Illinois press,Chicago, 2000
Theodor Holm Nelson "Computer Lib/ Dream Machines" ,1974
     "Literary Machines"(1981)邦訳『リテラリーマシン』監訳:竹内郁夫/・斎藤康己 1994 年アスキー出版
Vannevar Bush "As we may think." issue of The Atlantic Monthly, July, 1945
エマソン 「アメリカの学者」1837『エマソン論文集上』収録 酒本雅之訳 岩波文庫 1972 

http://www.w3.org/People/Berners-Lee/ShortHistory.html
Cher “Believe”1998
CD "OHM: the early gurus of electronic music" , 2000
Video "Russkij raius'99" ロシアのダンスミュージッククリップ集
     "Modulations" 映画(テクノ・ハウスミュージックの黎明期から現在までをつづったドキュメンタリーフィルム)


1:インターネットに限らず、テクノロジーの進歩は速く、dog yearと言われるように、1年間で技術は前年の2倍になるようだ。本稿も、その技術を扱っているので、2000年に行われた発表との現在とのギャップが生じているが、そのままにしてある。
2:2000 年の調査は行われていないので、1999 年から1年後のデータがどうなっているのかは不明。ここではロシアの例をあげたが、インターネットに接続されている端末が増えているという現象は、世界的に生じているわけではない。フランスの場合はMinitel があるため、インターネットの普及が比較的遅れていること。Minitel でしかできない各種サービスがあるため、インターネットとMinitel が併存している形である。
(注:現在ではWWW 上からMinitel の各種サービスを利用することができる。)日本などでも、インターネット出現以前はBBSといったパソコン通信サービスが主流であった。
3:「ロシア文化通信 群」第17号 2000年12月25日では、井桁貞義氏と東井ナジェージダ氏との対談の中で、このことを裏づける対談がなされているので引用する
 井桁 「欧米と同じように最初にアカデミックなサイトが立ち上がっていったから、日本のように商業サイトやアダルトサイトが先行したのとは逆にとても知的だという点も違う。
 ナージャ 「ロシアのインターネットは、九〇パーセント以上というと極端かもしれませんけど、かなりの部分を文化的な部分が占めていて、しかもそのほとんどが無料です。ロシアではまだビジネス方面は弱いんです。もともとロシア人はビジネス、下手ですから。」 p.3
 ロシアのインターネットビジネスの可能性の一部については、下記で言及した。尾子洋一郎「本というメディアの転換期」p.120『季刊 本とコンピュータ』第13 号 トランスアート 2000 年

Appendix i

ロシアのインターネットについて
○インターネット自体についての情報源
ドメイン申請
NIC のロシア版
RIPN NIC
http://www.ripn.net:8080/nic/
   RU Domains List [19.03.2000]
   RU - GENERIC ( 8 )
   RU - GEOGRAPHICAL ( 191 )
   RU - CORPORATE ( 28242 )
   RU - PUBLIC ( 214 )
   RU - registered by old form ( 1 )
○ロシアの通信事情関連
・「
Russian Encyclopedia of Information and Telecom
http://reit.mbt.ru/
・「 Telecommunications in Russia
http://www.broich.de/telecom.htm
ロシアの通信事情は一目瞭然。何故かドメインはドイツ。
http://www.telecomm.newmail.ru/
ロシアの通信関連サイト
○カザフスタンの通信事情
http://www.infonet.kz/
○ウクライナの通信事情
http://www.telegroup.com.ua/
○ ロシアの ISP
http://www.dn.ru/
http://www.lvs.ru/

http://info.podolsk.ru/
○ウクライナのポータルサイト
http://www.topping.od.ua/
Monitor
http://www.telenews.ru/
○検索サイト
・「
The List of Russian Web Servers
http://weblist.ru/
ディレクトリ型検索サイト
FTP Search
http://www.filesearch.ru:8000/ftpsearch

ファイル検索サイト
・「
NETSEARCH.RU
http://netsearch.ru/
・「 WEBGID.RU
http://www.webgid.ru/
ディレクトリ型検索サイト
・「
Zenon N.S.P
http://www.aha.ru/links/
ディレクトリ型検索サイト
・「
poisk informacii
http://www.pi.ru/

情報検索サイト
・「
Estonia -Wide Web
http://www.ee/www/ru_win.html
エストニアの情報検索エンジン
○ロシアでの
E-Commerce を推進している団体
http://www.admin.spb.ru/
○ロシアの新聞雑誌のオンライン販売代理店(無料講読も可能)
・「
Russian Story, Inc.
http://www.RussianStory.com
○総合サイト
SovInformBureau
ロシア・ソヴィエトのアネクドート、ロシアのハイテク、旅行情報、など。リンクも豊富。メーリングリストもあり。

http://www.siber.com/sib/index.html
○毎日更新の総合リンク
http://www.home.ricor.ru:90/daily/
○ロシア関連リンク集
Links to Russian and NIS Literature Resources
http://users.aimnet.com/~ksyrah/ekskurs/russlink.html
○コンピュータでロシア語を使う
マック
Russification of the Macintosh
http://www.friends-partners.org/partners/rusmac/
ウインドウズ
Cyrillic for MS Windows Netscape
http://ourworld.compuserve.com/homepages/Paul_Gorodyansky/cyr_www.htm

○ロシア語でチャット
Chat.ru
http://www.chat.ru/
○ロシア文学情報源
Resources for Russian and Slavic Languages and Literature
http://www.library.vanderbilt.edu/central/russian.html
○ロシアの博物館・美術館リンク集
Muzej rossii
http://www.museum.ru
○ロシアのTV・ラジオ
russian webcasting radio & TV directory
http://ntv-international.com/radio.html
Russian TV in Real Video
http://www.razvod.com/rus/ssilki/tv/
http://www.nettv.ru
○ロシアのゲイ文学
http://www.vmt.com/gayrussia/mogutin/mogtable.html
Wolfy's gay Page
http://koi.gay.ru/wolfy/literature/01.html
○ロシアのクラッキング(ハッキング)サイト
・「
welcome to the vinni`s hack page
http://www.chat.ru/~russianhackers/w.htm
○オンライン文学コンテスト
Teneta
http://www.teneta.ru
○ロシアのロック・ポップス・テクノ・ハウス
A'Studio
http://www.om.ru/a-studio/russian.htm
russian MP3 Archive!
http://russianmp3.ai.ru/
○ロシア語をコンピュータに喋らせる
THE BELL LABORATORIES RUSSIAN   TEXT-TO-SPEECH SYSTEM
http://fccl.ksu.ru/pavlova.htm
○ロシアの電子音楽について
http://xmedia.aha.ru/theremin/index.htm
---
95
年の私の調査ではロシアにおいては主に商業サイトはアメリカ( .com )に置かれていたのであるが、現在は独自ドメインである (.ru) に置かれている。このことは、ロシアのサーバーの信頼性が安定しつつあることを示している。しかしながら、クレジットカード決済を含む商業サーバーでは未だにアメリカにサイトをおいている所もある( eg.   http://www.russianstory.com/  なお、同サイトでは、諸新聞・雑誌を電子的に講読することができる。また、無料のダイジェストをプッシュ技術を使った方法で受信することが可能)。(注  2000 年後半から pdf 形式に変更された)
 ロシアのサーバーの不安定さから独自ドメインを持つことが少なかったが、ここ数年ではサーバーも比較的安定し、またデザイナーの質も向上し、視覚的に見ても楽しめるサイトが充実してきた。従って、文学テキスト(テキスト主体)のみならず、ロシア人の若いデザイナーの作品を「見せる」サイトも充実してきている。ドイツの
ZKM(Zentrum fur Kunst und Multimedia) のような試みが実現することも考えられる。ただし、ロシアのネットワークのバンドウィドス( BandWidth )を考えると、まだ帯域が狭いので、本格的なインターネット放送がはじまるのはこれからであろう。(インターネット放送の手段として用いられるのが、 Realmedia 社の Real Audio/Video 技術 http://www.real.com Microsoft 社の WindowsMedia 技術、 Apple 社の QuickTime 技術 http://quicktime.apple.com である。また数は少ないが Vivo 技術 http://www.vivo.com を使ったサイトもある)
e.g. http://www.sccamoscow.ru/  ソロス現代美術センター)
http://www.relis.ru/MEDIA/index.html  雑誌が読める)
http://www.mkniga.msk.su/  MKの公式サイト)
http://www.101.ru/  ラジオ 101 公式サイト)
http://ak.csp.mplik.ru/sources/  電子テキストアルヒーフ(文学))
http://www.gov.ru/  ロシア政府公式サイト 大統領にメッセージを送れる)
http://ctv.rt.ru/live.htm  ロシアのテレビ局)
http://koi.www.online.ru/sp/magazine/  マガジンオンライン)
http://www.ropnet.ru/  ロシアのプロヴァイダ)