スラブ研究センターニュース 季刊 2007年秋号 No.111 index

研究の最前線


スラブ・ユーラシア文化研究会「共産圏の日常世界」開催される

8月4日・5日の両日、センター大会議室において、スラブ・ユーラシア文化研究会「共産 圏の日常世界」が開催されました。(主催:21 世紀COE プログラム「スラブ・ユーラシア学 の構築」/科学研究費基盤研究A「スラブ・ユーラシアにおける東西文化の対話と対抗のパラ ダイム」企画運営:高橋沙奈美、望月哲男)

会のねらいは、一枚岩の全体主義的イデオロギーを持った体制という「過度な全体主義モ デル」と、体制と対峙する「抵抗する主体」の神話をともに超えたところで、公と私、イデ オロギーとアイデンティティの相互関係を検討しながら、共産主義社会に生きた人々の日常 感覚を推測しようというもの。旧ソ連とユーゴスラヴィアの専門家のほかに、北大の中国専 門家の方々の参加を得て、これまでにない刺激的な研究交流ができた気がいたします。 研究手法や概念の使用のみならず、研究発表のあり方においても相互に学ぶところが多い ので、これからも同じ趣旨の研究会を継続したいと思い、ご関心のある方の参加を募集して おります。研究会の成果は目下編集中。プログラムは以下の通りです。

[望月]
8月4日(土) 
第1セクション 宗教と日常のくらし

  • 伊賀上菜穂「 ソ連農村生活の一断面としての「移動」:ブリヤート共和国ロシア正教古儀式派村のケースより」

  • 長島大輔「 社会主義ユーゴスラヴィアにおける宗教生活」
司会・討論:渡邊日日・高橋沙奈美
第2セクション 祝祭と熱狂の日々

  • 宮風耕治「1980 年代ロシアSFファンダムの構造と変動」

  • 鈴木正美「1960-80 年代のジャズ・フェスティバルと聴衆」
司会・討論:後藤正憲
第3セクション 中国における共産主 義イデオロギーと日常生活

  • 武田雅哉(司会兼)「よいこの文化大革命」

  • 応雄「映画『千万不要忘記(くれぐれも忘れぬよう)』(1964 年)と「道徳的マゾヒズ ム」:切断としてのイデオロギー」

  • 中野徹「英雄の読まれ方:小説『鉄道遊撃隊』の受容について」

  • 中根研一「中国の怪獣〈野人〉と〈水怪〉:現代中国を徘徊する妖怪イメージ」
    (映画上映)


8月5日(日) 
第4セクション 共産圏と異界

  • 塚崎今日子「ソ連時代のアネクドート」

  • 柚木かおり「ポストスターリン期における組織的な日常娯楽の盛衰:楽器バラライカの事例から」
司会・討論:桜間瑛
第5セクション 政治の影響下にみる 日常生活

  • 鳳英里子「壁面を彩る:ウズベキスタン共和国タシケントのパネル式住宅の装飾事例:装飾モチー フ・技法に見るイデオロギーと文化的嗜好の関係」」

  • 半谷史郎「フルシチョフ時代の音楽バレエ家の出国と亡命」
司会・討論:梅津紀雄・松戸清裕
第6セクション 表象の世界における 日常性

  • アレクセイ・パルキン“Games of Russian Pre-school Children in Soviet and Post-Soviet Periods: Comparison”

  • 越野剛「ソ連の学校における女の子の物語文化」

  • 岩本和久「キラ・ムラ-トヴァの映画と日常生活」
司会・討論:望月哲男

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