新学術領域研究の中間評価でA評価を受ける
3年目を迎えた新学術領域研究「ユーラシア地域大国の比較」は,文科省の定めに従い,
この8~9月に専門家による中間評価を受けました。このほど,A評価(研究領域の設定目的に照らして,期待どおりの進展が認められる)を受けたという通知
がありました。
中間評価は,「評価要綱」に則り,「科学研究費補助金における評価に関する委員会」の
なかの「人文・社会系委員会」によって行われました。ヒアリングは,9月13日に文科省で行われました。「中間評価に係る意見」は次のとおりでした。
本研究領域は、ロシア、中国、インドを現代の世界秩序に挑戦する「地域大国」と位置づけ、これらの国々の特殊性・固有性を探究するとともに、共通性を抽出
し、さらにはそれを通じて世界システムの理解の深化を目指すものである。
その調査方法の一環として、地域研究者が専門外の地域に相互乗り入れを行っていることは注目に値する。これらの調査を通じて、学会誌レベルの論文も精力
的に生産され、「帝国とその崩壊プロセスの比較」「地域経済統合」「内政比較」などの大きなテーマをめぐって、着実に研究成果が挙がっている。国内外の学
会でセッションやラウンドテーブルを設置するなど,研究成果の公表についての積極的な姿勢も評価できる。公募研究も研究領域の特色を反映しており、計画研
究と公募研究の連携もよくできていることも高く評価できる。
今後の研究を通じて、「世界システム」「文明圏」「帝国」などの大概念についてのさらなる検討と、個別の研究課題についての研究成果を統合する、より大き
な議論や理論的枠組みの提示が期待される。なお、この研究領域で行われている、地域研究者の相互乗り入れについては、その方法を通じて具体的にどのような
新しい発見が行われるのかということを、より方法論的・体系的に明示してもらいたいという意見も出され、地域研究の方法論の再検討のための貢献も期待され
る。
また、大きな理論的枠組みの提示という課題に関しては、各研究グループを越えての大きな議論の場があまりつくられていないという意見があり、そのような議
論の場がより多く設けられ、より大胆な理論化がなされることが期待される。
新学術領域研究の評価要綱は次のページ参照。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/1295014.htm
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