共同利用・共同研究拠点公募プログラム・シンポジウム
「北西ユーラシア歴史空間の再構築
ロシア外部の史料を通じてみた前近代ロシア世界」
開催される

長 縄宣博


   10月31日、11月1日の両日にわたって、ロシア外部の史料に通暁する専門家の報告に対して、ロシアの専門家が迎え撃つ形で討論を行うという、大変ユ ニークな研究会が開かれました。これは、スラブ研究センターの共同利用・共同研究拠点公募プログラムとしては、記念すべき第1回目のシンポジウムでした。 スラブ研究センターは、歴史研究では近現代に重心が偏っていますので、前近代の研究者とどのように協力関係を築いていくかは、以前から大きな課題でした。 そうした中で、北欧中世史で新進気鋭の小澤実氏(名古屋大学)の情熱によって、各専門領域で第一線の研究者をセンターに糾合できたことは、大変光栄なこと でした。

 我々は、ユーラシアという言葉を使うとき、ともすれば歴史的に一貫したシステムとしてその空間を想定しがちです。しかし、今回のシンポジウムで、「北西 ユーラシア」という空間を設定して浮かびあがったのは、そこに住む人間集団の間に直接的な接触のない時期、少なくともお互いに関心を持たなかった時期、そ して文字記録から抜け落ちている時期が、長く存在したということでした。「史料の沈黙」の意味が、セッションを横断的に議論されたことは偶然ではありませ ん。今回の研究会では、時代と地域によっては必ずしも豊かではない史料を精読することを通じて、どのような問題設定によって、「北西ユーラシア」という空 間が有意味な研究対象になりうるのかが、真摯に検討されました。


講    演

家島彦一 (早稲田大学)「アラビア語史料に記録された北西ユーラシア世界とくにイブン・ファドラーン『報告書(リサーラ)』による」
第1セッ ション

中央アジアの視点 赤坂恒明(早稲田大学)・川 口琢司(藤女子大学)・長峰博之(北嶺中・高等 学校)
コメント:堀川徹(京都外国語大学)
第2セッ ション

イスラーム世界の視点 報告 小笠原弘幸(青山 学院大学)・磯貝健一(京都外国語大学)
コメント:濱本真実(人間文化研究機構)
第3セッション スカンディナヴィアの視点 小澤実(名古屋大 学)・成川岳大(東京大学)
コメント:細川滋(香川大学)
第4セッション ビザンツ帝国の視点 草生久嗣(千葉大学)・橋 川裕之(静岡県立大学)
コメント:宮野裕(北海道大学)


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